
クレイトスのまだ見ぬ一面が掘り下げられる。『ゴッド・オブ・ウォー スパルタの申し子』レビュー!

2026年2月13日(金)、ソニー・インタラクティブエンタテインメントは、PS5用ソフト『ゴッド・オブ・ウォー スパルタの申し子(God of War Sons of Sparta)』を発売した。同作は、神話を題材とする人気アクションゲーム「ゴッド・オブ・ウォー」シリーズの主人公・クレイトスの“若き日々”に迫った2Dアクションアドベンチャー。
本作での世界観は、PS4/PS5向けに発売された『ゴッド・オブ・ウォー』と『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』の北欧神話ではなく、それ以前のギリシャ神話の世界(※)で展開される。
(※)『ゴッド・オブ・ウォー』3部作、スピンオフ『アセンション』、携帯機向け『落日の悲愴曲』、『降誕の刻印』

青年期のクレイトスと彼の弟・デイモスとの日常、そしてクレイトスの娘・カリオペの人物像など、これまでのシリーズではあまり描かれなかった“空白”を埋める一作品となっている。
このたびGameWithでは、ソニー・インタラクティブエンタテインメントからプレイの機会をいただいたので、本作の特徴やプレイした感想について紹介していく。
なお、本稿では便宜上ギリシャ神話のシリーズを“旧シリーズ”、北欧神話を“新シリーズ”とそれぞれ呼称していることだけは何卒ご容赦いただきたい。
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クレイトスさんにも人の血が流れていた(?)青年時代にフォーカス


本作ではクレイトスが「スパルタの亡霊」になる以前、娘のカリオペに青年時代のエピソードを語り明かす視点から物語が紐解かれていく。
これまでのシリーズで自身の過去をほとんど口にしなかったクレイトス。北欧の地でもうけた息子・アトレウスに、旅の道中で語らう場面も多々あったが、本作はまだ神々への復讐を誓う以前の時系列。娘に対して驚くほど饒舌だ。


シリーズファンにとって見どころとなるのは、やはりクレイトスとデイモス、兄弟2人の関係性だろう。
PSP向けに発売された『ゴッド・オブ・ウォー 降誕の刻印』では、クレイトスが戦神アレスを倒した後、タナトスに囚われているデイモスを助けるために奮闘する過程が描かれた。こちらのタイトルでも2人の関係について焦点は当たったが、本作はより濃密で鮮明。
ストーリーパートの進行に応じて掛け合う2人の会話から、兄弟間の仲の良さが見て取れる。この頃のデイモスはまだ可愛げのある弟といったところで、なんだか微笑ましい。


一方、クレイトスもスパルタの戦士であることを誇り、実直で裏表のない堅物気質な青年像である。過去作をプレイしている身からすれば、目的のために手段を問わず、人だろうと神だろうと平気で手をかける残忍性とのギャップに驚きを禁じ得ない。
「クレイトスさんもまだ血の通った人間だったんだな...」
そんな感想を抱かずにはいられないほど、家族を失いアレスを憎んだクレイトスの狂戦士ぶりは凄まじかった。
ゲーム中、好奇心旺盛なカリオペに呆れる様子や、デイモスに振り回されそうになる場面など、クレイトスの素の人柄を目にするたび、過去作を通して描いてきた“潰えぬ怒り”のディテールが顕現していく。


ギリシャ神話の世界がクレイトスの怒りに呑み込まれ、終始殺伐としていた本編に比べたら青年時代はまだ比較的穏やかかもしれない。どのような青年時代を経て、クレイトスは大人に至ったのか。シリーズファンにとってある種盲点とも言えた、青年時代を掘り下げるストーリーとなっている。
なお、本作は『ゴッド・オブ・ウォー』、『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』を手がけたSanta Monica Studioのシナリオ制作チームがストーリーを担当しているという。これまで以上にクレイトスの等身大の人間像が紡がれていく過去エピソードを、ぜひその目で体験してほしい。
「探索」が主役になった新解釈の『ゴッド・オブ・ウォー』

シリーズでは、腕に巻き付けられた鎖付きの双剣「ブレイズ・オブ・カオス」を巧みに操り、素早い連続攻撃で広範囲の敵を制圧するコンボアクションと、QTEを交えたトドメの一撃がバトルシステムの魅力だった。
また、新シリーズでは俯瞰型のクォータービューから肩越し視点の3Dアクションへと、大きくジャンル変更したこともあり、旧シリーズとはまた違った良さを見せている。

▲記念すべきシリーズ1作目『ゴッド・オブ・ウォー』(2005年)。

▲舞台を北欧神話に移し、システムやカメラワークを一新した『ゴッド・オブ・ウォー』(2018年)。
しかし、本作は横スクロールアクションという切り口を採用し、これまでのシリーズであまり訴求されなかったゲームジャンルへと変化を遂げた。使用武器も恒例の双剣から、スパルタの兵士らしい「槍」と「盾」が中心だ。
ちなみに、厳密に言えば日本未展開のモバイル向けタイトル『God of War: Betrayal』が横スクロールアクションを採用していることで知られる。ただ、家庭用ゲーム機向けソフトとして骨太に遊べる横スクロールアクションは本作がシリーズ初だろう。

ゲーム中は上下左右に入り組んだフィールドを探索しながら地図をマッピングしていく、いわゆるメトロヴァニア形式のシステムとなっている。メインストーリーを進行させていくかたわら、探索によるアイテム収集やサブクエストといった寄り道要素も楽しめるのがポイント。
旧シリーズでは謎解きによる仕掛け操作で、1度来た道に戻ってくることがあっても、サブクエストを中心とするフィールド探索は遊びとして想定されていない作りであった。
あくまでメインストーリーを楽しむ過程で育成アイテムを獲得できる宝箱が隠されている程度。フィールド探索は新シリーズからの遊び方となっていた。


サブクエストやフィールド探索を行えるという点で、ゲームプレイに一定の自由度が生まれていることから、ある意味ギリシャ神話の世界を隈なく探索できる唯一の『ゴッド・オブ・ウォー』と言えそうだ。
拠点となる街から探索を広げる体験は、純度の高いメトロヴァニアそのもの。そこに独自の解釈こそないが、神々から授かったアイテムで仕掛けを解き明かす「シリーズらしさ」は純粋に落とし込まれている。


マップを埋めながら手にしたアイテムを用いてショートカットを開き、隠し部屋からアイテムを入手する喜びは、フィールド探索がより遊びとしての性質を強めたからだろう。新シリーズは肩越し視点の3Dアクションだからこそ視界も良好だったし、探索すべき道筋が直感的に見えていた。
だが、本作はサイドビューのため、地形を把握した上での探索が特に重要だ。目的地に至るまでのルートはマッピングを続けて、地形同士の繋がりを考慮しなければ、まず見えて来ない。
新シリーズも旧シリーズも、一貫しているのは“ストーリーを軸とした体験”なのだが、本作のようにそもそも探索がゲームの軸にあるというスタイルは、これまでにない『ゴッド・オブ・ウォー』の在り方を見せてくれている気がした。
「3D」→「2D」の変化が生む制約と駆け引き

従来のストーリー体験を重視したシネマティックな『ゴッド・オブ・ウォー』から、よりゲームらしくある『ゴッド・オブ・ウォー』に変化を遂げたことは、前項のメトロヴァニアな探索要素からも明らかだ。
さらに3Dゲーム→2Dゲームに「ゲーム」としてのレイヤーを落としたことで、クレイトスのアクションには2Dゲームを前提とする制約が生まれた。そうした事情もあって、ややシステマチックな印象になったのは否定できない。

ただ、横スクロールアクションになっても、これまでのシリーズが持つダイナミックなアクションはしっかり踏襲されている。QTEのトドメは姿形を変え、エッセンスとして残り続けている。
また、ひと工夫入れたことで駆け引きの単調さから脱却しようする試みも見られた。昨今では、すっかり欠かすことができなくなった「パリィ」要素だが、本作では“パリィ=万能な防衛手段”にならない。


ボス敵によっては色分けされた特殊な攻撃を行う場合があり、赤・青・紫の色ごとに、防衛手段をそれぞれ使い分ける必要がある。
あらゆる攻撃をパリィでいなしてきたアクションゲーマーも攻撃の予兆に合わせたリアクションを適切に取らなければならないワケだ。回避・ガード・移動といった防衛手段を満遍なく使うことが求められてくる。

敵の攻撃を色分けでカテゴライズし、それぞれの攻撃に合わせた防衛手段によってニアリーイコールなバトルデザインと化した本作では、とりわけ被弾しやすく体力の消耗が顕著な設計だ。実際ゲーム中は、立ち回りに困ったときのパリィ...とならないからこその難しさがあった。
しかし、敵だけが有利ということでもない。クレイトスは通常攻撃のほかに、「気力攻撃」と呼ばれる攻撃手段を持つ。気力攻撃はダメージこそ低いものの、敵を攻撃した際に回復オーブが出現するという性質。つまり、回復手段である。


もちろん、気力攻撃はいつでも使えるわけではない。それでも通常攻撃で気力を回復できることから使うハードル自体もそう高くはない。なので、強敵相手にはこちらも攻撃手段を使い分けて戦いを進められるのだ。
ゲームを始めた直後はこうした攻撃や防御の使い分けで混乱することもある。筆者のプレイ中も雑魚敵の攻撃が蓄積して死亡するケースが多かった。体感的には過去作と比較しても、歯応えを感じられるゲームデザインといった印象だ。

しかしながら、それゆえに同じ『ゴッド・オブ・ウォー』として、好みの差がある程度生まれてしまうのは間違いないところだろう。カジュアルかつ、シネマティックな『ゴッド・オブ・ウォー』を求めているユーザーには、シビアな駆け引きに些か抵抗があるはずだ。
だが、今回プレイした上で感じたのは、そういった難易度の手触り感を含めてでも、シリーズファンなら触れる価値の高いスピンオフ作品だということ。クレイトスという1人の武人を知る上で、やはり欠かすことができないピースになりそうだ。
もちろん、今までシリーズに触れたことがないプレイヤーでも、アクションゲームとして遊び切れるタイトルになっている。本作は時系列を見ても『ゴッド・オブ・ウォー』全作品において、もっとも過去のシナリオとなる。関連作を触れずに遊べるので、本作からプレイしてみるのも大いにアリだ。
『God of War Sons of Sparta』の基本情報
| 発売日 |
2026年2月13日 |
|---|---|
| 会社 |
Sony Interactive Entertainment |
| ジャンル | アクション |
| 対応ハード | PS5 |
| 価格 |
PS5 : 3,163円(税抜)
|
GameWith編集者情報

| 東京都福生市生まれのゲームライター。そしてお酒と革靴が好物でソロキャンプが趣味のミニマリスト気質おじさん。サ終ゲームのヒロインをAIで復活させてニヤニヤしたり、国語辞典を持ち歩いて山中フラフラしたりしています。ULキャンプに傾倒しているためSNSは大体キャンプの話題が多め。 |
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