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「ゲームは1日1時間」
昔、偉人が言っていたが、どれだけの人が守っていただろうか。
筆者の子ども時代。夏休みや冬休みは、ゲームをプレイしまくるために存在していた。ノーヒントで「ゼルダ」シリーズや「メトロイド」シリーズをクリアしたあの頃が懐かしい。
時は流れ、筆者はいまや親の立場。自分の子どもに「長期休暇はゲーム三昧でもOK」なんて、口が裂けても言えない。いや、言ってはならないのだ。
そうはいっても、当時が楽しかったのも事実。
そこで筆者は思いついた。なら、親子で一緒にゲームをプレイすればいいんじゃないの?
そんなわけで今回は、ソロやマルチで最大4人のプレイヤーと、巨大な岸壁の頂上を目指す協力型クライミング・アクション『ピーク(Peak)』を紹介する。
毎日変化する山々を舞台に、仲間を押し上げ、引っ張る協力プレイで山頂を目指し、空腹に耐えながら困難を克服する。割とシビアな極限サバイバル。
ところが、ゲーム中はプレイヤーを大爆笑の渦にたたき落とすという。さらに、子どもの学びに必要なものをすべて教えてくれる──と筆者は思う、奇跡の1本だ。
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夏休みゲームレビュー祭まとめ2025
目次

PEAK
ツッコミどころが多すぎるクライミング・アクション

▲そびえ立つ断崖絶壁。本作に「迂回路」はありません。
本作の目的は、飛行機事故で墜落した謎の島からの脱出。行く手を阻む山の山頂を目指し協力しながら登っていく。
筆者は登山が好きで、大垂水峠や陣馬山などの関東近郊の山々へ、子どもが小さい頃から、一緒に通っていた。その子どもも、この春、中学1年生になった。
本作の登山は、マップにも記載されない岩場をよじ登っていく「クライミング」。ゲームを開始するとプレイヤーたちの眼前には、壁のような山肌がそびえ立つ。これが圧巻のスケールで、山好きを地味にワクワクさせてくれる。
ただ、冷静に考えると「迂回はできんのかい」とツッコミを入れたくなる。目の前の山は、普通は「まず登ろう」と思わないくらいの、文字通りの「壁」なのだ。他にもっと楽なルートを探すべきだ。

▲楽しそうですが、そのラッパ、実績解除以外では役に立ちませんから。
さらにプレイヤーの装備は、ほぼ裸一貫。なんでなの!?いや、服は着てますよ。しかし登山というよりは、ホームセンターでも売っていそうなレンジャー・ユニフォームだ。
「なんで、その装備で、こんなところを進むのか…」
嘆く筆者を横目に、どんどん進んでいく子ども。どこで入手したのかもわからない「ラッパ」を片手に、勇ましく突き進んでいく。
若いっていいな。
そんなのんきな感想を抱きつつ、あらためて画面をよく見る。すると左下のゲージには、明らかに空腹を示すアイコンが表示されている──
ちょっと待て、いま必要なのはラッパじゃなくて食料では!?
父親の苦労は尽きない。

PEAK
腹が減っては登れない。重量や空腹を1つのゲージで管理する秀逸な体力バー

▲ココナッツだ。食料としてありがたく頂戴する。
ほどなく進むと、実のなるヤシの木を発見。そこで、木によじ登り確保に奮闘する筆者。気が付くと、いつの間にか下で眺めている子ども。
「お父さん、なにやってんの?」
こいつ…、いまだに状況が理解できんのか。
「腹が減ったら、そのラッパを食べるつもりか?」と、心の中でつぶやき、「体力ゲージに胃袋のアイコンがあるでしょ。絶対に空腹だよ」と教える。
本作は、ひとつのゲージで「体力」「スタミナ」「重量」「空腹」「特殊効果」など、あらゆるステータスを一括して表現するというユニークな仕様。大部分を占めるのは、キャラクターの体力とスタミナを示す体力バー。岩をよじ登ると、みるみる消費され、無くなると落っこちてしまう。
一方で、アイテムを持つと重量が、時間経過で空腹が、ダメージを受けると負傷のバーが伸びる。ゲージ全体の長さは常に一定なため、その分、体力バーが短くなり活動限界も早くなる。

▲ちょっと、ラッパ吹いてないで手伝ってよ。「ほれ、ココナッツ投げたよ」って、『猿かに合戦』か!
練りこまれたシステムだ。絶対にリソース管理がゲームプレイの中核になるはず。などと分析しているだけで、なかなか進まない筆者に痺れを切らしたのか、「ねえ、食料はもういいよ。どうせ持てないから」と、子ども。
そうなのだ。アイテムは3つまでしか持てない。重量が増すジレンマもある。さらに、日が暮れると死ぬほど寒くなって凍えてしまう。
ラッパ片手に他人任せのヤツに言われたくはないが、実に冷静な指摘だ。急がなければ日が暮れてしまう。そんな、ガチガチの極限状態が本作の面白さ。
筆者が食料を集めているときに、何をしていたかと、子どもに聞いてみる。
すると──「下でラッパを吹いて応援していた」とのこと。
これは運動会か?

PEAK
まあまあシリアスなのに、なぜか巻き起こる大爆笑。絶叫必至のゲームプレイ

▲「もう少しだ。ほら掴まって!」そんなプレイの連続。
登山の方法はシンプル。登れそうなルートを見極め、掴まるボタンを押して岩にとりつき、スタミナが尽きるまで、ひたすら登り続けるのだ。
「もう少しで足場に着く」そんな、絶妙なタイミングで切れるスタミナ。
そこで、上にいるプレイヤーが手を差し伸べ、「ファイト、一発」とばかりに、引っ張り上げる。体力があるプレイヤーが先行し、後続をサポートする。一方、下からもプレイヤーを持ち上げて、効率よく難所をクリアする。
「登って引っ張って」をリズミカルに繰り返す協力プレイが、本作の独自の楽しさを生んでいて、心地よいプレイフィール。
対峙する山は「掴む場所ゼロ」「垂直を通り越したオーバーハング」などなど、マジで鬼の難易度。さらに、爆発したり、毒を吐いたりと、迷惑でしかない生態の植物も大量にいて、輪をかけて質が悪い。

▲一瞬の油断で起こる滑落事故。本作ではかなりの高さからの落下にも耐えられるが、復帰は一筋縄ではいかない。
足場の悪さから滑落事故が多発するのだが、どういうわけか本作では「事故」が「コンボ」に発展する。例えば──スタミナが尽きて手を滑らせた筆者の場合。
「数十メートル落下したその先が、運悪く触れると爆発する植物の上。あえなく爆発に巻き込まれ、吹き飛ばされながらさらに下へ滑落する」みたいな、悲劇コンボが頻発する。
これはもう絶叫なしではプレイできない。さらに、筆者の滑落劇を見て、一緒にプレイしていた子どもは、大爆笑の嵐。
「なんで笑う!?」
こっちは大ダメージを食らって瀕死状態。しかも、元居た場所はるか上空。アイテムもなし。復帰は絶望的だ。
なのに──なぜか筆者も大爆笑。
どうやら、あまりの悲劇を目の当たりにすると、人は「笑っちゃう」らしい。
しかし、さまざまな困難と、爆笑の渦を経て、山頂に到達したときの高揚感はやみつきになる。山頂に用意された、キャンプファイア(セーブポイント)と、ご褒美のマシュマロが嬉しい。
下界を見下ろしながら食べると格別なのだ。

PEAK
本作には、子どもが人生で必要とする力が詰まっている。そう断言したくなるほどのサバイバル

▲別の山が姿を表す。「神よ慈悲はないのか」と叫びたくなる。
山頂でマシュマロを頬張るプレイヤーたち。しかし、霧が晴れたその先には、さらなる難易度の別の山が登場する。
──何度も言うが、本当に迂回路はないのか?
ご丁寧に、本作の山は24時間で新しいものに変化してくれる。常に新鮮な気持ちでプレイできるってわけだ。
ユーモラスな作風ながらも、困難な状況を「克服する力」、時間配分や物資の運搬などを「計画する力」、お互いが協力し合う「相互ほう助の力」、そして攻略ルートの見極めなど「先を予測する力」。本作には、子どもの学びとなる要素が、学習塾かってくらい詰まっている。
「やる気スイッチ」を押すまでもなく、楽しみながら将来に必要なことを教えられる。親子で遊ぶのに、このうえない作品だと筆者は感じた。

▲たどり着いた山頂で、一瞬の安らぎを得る。
ただし現状、本作はSteamの販売のみ。そのため、プレイ人数分のPCを用意しなければならない。また、画面分割プレイができず、人数分のソフトを別々のアカウントで購入する必要がある。プレイするためのハードルが若干高いのが難点だ。
それでも、本作の必要スペックは低く、ここ数年で購入したPCなら問題なく動作する。価格も880円と安価だ。
筆者はゲーミング・デスクトップ、子どもは数年前のノートPCでプレイしているが、これまで大きな問題は起きていない。
Steamのセールを活用すれば、さらに安価で入手することもできる。というか、筆者はそうした。

PEAK
9日間で200万本を販売する大人気作

▲操作性もよく、誰にでもプレイできるゲームだ。
筆者のみならず、世界中で本作は大人気だ。開発元の「Landfall」と「Aggro Crab」は6月26日、リリースから9日間で売上本数200万本を達成したと発表した。執筆時のSteamレビューは「非常に好評」。
先日のアップデートで日本語にも対応し、もはやプレイしない理由が見つからないタイトル。
ちなみに子どもが吹いていたラッパは、実績解除系のアイテムっぽい。
しかしゲームを進めると、すべてのプレイヤーのスタミナを「無限」にする「友情のラッパ」が登場するらしい…。
マジで侮れないな、このゲーム。

PEAK
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PEAK
『PEAK』とは?

仲間と協力して山を登るアクションアドベンチャー!このゲーム、ただ登るだけじゃない。
Landfall Gamesから発売のPC対応ゲームソフト『PEAK』は仲間と力を合わせて険しい山を登っていく協力型アクションアドベンチャー。
プレイヤーが乗った飛行機は、とある島に墜落。島の中央にそびえ立つ、見上げるほど高く険しい山頂を目指す大冒険が幕を開ける。
ただ登るだけでなく、空腹や喉の渇きといったリソースが存在。これらを満たすため、道中で様々な食べ物やアイテムを集める必要がある。
小さなカバンの中に何を入れるのか、常に取捨選択を迫られるドキドキ感も味わえるだろう。
最大4人のマルチプレイに対応。1人では行けない場所も、仲間となら、もしかしたら。

発売日など基本情報

PEAK
GameWith編集者情報

フリーランス物書き。ドーナツ食べながら子どもとゲームするのが至高。好きなジャンルはインディーズとFPS/TPS。ゲームの腕前は皆無のポテトゲーマー。ジャンルやタイトルに捕らわれずゲーム業界全体に興味があります。ゲーム以外にはアウトドア系やローカルニュースなどを執筆中。普段は塾講師、ときどきラジオパーソナリティ。 |
今後発売の注目作をピックアップ!
2025/8/28 発売

METAL GEAR SOLID Δ
: SNAKE EATER
7,800円(税抜) 2
2025/8/28 発売

PS5/PC
スーパーロボット大戦Y
8,900円(税抜) 3
2025/8/29 発売

Lost Soul Aside
7,980円(税抜)