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カードを選んで配置するだけ。なのに話題のデッキ構築型ローグライク王国建設『9 Kings』プレイレポ。遊んで初めて分かる、単純なのに奥深い魅力を“二項対立”でご紹介
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2025年5月23日 発売中
レビュー
総合点
カジュアル
ゲーマー

カードを選んで配置するだけ。なのに話題のデッキ構築型ローグライク王国建設『9 Kings』プレイレポ。遊んで初めて分かる、単純なのに奥深い魅力を“二項対立”でご紹介

最終更新 :
9 Kings

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9 キングス(9 Kings)』が、いまインディー界隈で話題だ。カードを引いて配置し、敵に石ころをぶつけるゲームらしい…。

なんだそりゃ!?話を聞いても全くピンとこない。

調べると”話題”なのは事実だった。デモ版公開直後は無風だったが、そこからじわじわと話題となり、早期アクセス開始時するや否や9500人以上の同時接続者数を獲得していた。

本作は「単純なのに、奥深い」「バランスが崩壊しているのに、調整できてる」「1画面なのに、大規模戦闘」と、笑ってしまうくらい見事な二項対立がゲームを支配している。

そのギャップを、ひとつずつ丁寧に、こより(※)のようにより合わせたうえで、ローグライクの要素を味付けしてゲーム全体の面白さを整えた、完成度の高い作品だった。
「面白い」を通り越して「美しさ」すら感じさせる仕上がりに、筆者の寝る時間がまた少なくなってしまうジレンマが狂おしい。
※細く切った紙をより合わせて作ったひも

目次

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9 Kings

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単純なのに奥深い。カードを選んで置くだけ、あとはオートバトル

9 Kings

▲「カードを1枚引いて1枚置く」これを繰り返して首都を強化する。

二項対立(にこうたいりつ)とは、2つの逆要素が対立していること。「天国と地獄」や「善と悪」などがわかりやすい。前者は「死後の世界」、後者は「人の心」といった具合に、2つで全体を成していることも、実は重要。

『9 キングス』は、とんでもなく単純なルールなのに、この二項対立を巧みに利用して、驚くほど濃密なジレンマのスープでプレイヤーを虜にする。

プレイヤーの行動を端的に表せば、たったの5文字。

選んで置く

冗談抜きにこれだけなのだ。

本作は1年を1ターンとし、毎年、攻め入る敵軍勢から宮殿を守りつつ、33年後に控える王国の存亡を賭けた最終戦争での勝利を目指す。

9 Kings

▲どの王と敵対するかはランダムで決まる

ゲームは、それぞれ固有のデッキを持つ9人の王のうちから1人を選択し、「デッキからカードを1枚引く〜王国の領土に1枚配置〜戦闘」という流れを延々繰り返すことで進行する。

戦闘はオート。敵味方のユニットが全自動で大激突する。”石ころ”は、ゲーム開始直後に選択できる「無の王(※)の固有スキルで、クリックした先に一定間隔で投石して敵に大ダメージを与える。ただ、これすらもオートにできるから、プレイヤーは本当に眺めているだけでいい楽ちんさ。
※条件を満たすと別の王が順次アンロックされる。

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バランス崩壊しそうなのにギリギリで踏ん張る。綱渡りの調整がスリリング

9 Kings

▲さまざまなシナジー効果を生かしてビルドを構築する。

カードは9人の王ごとに9枚ずつあって全部で81枚。「建物」「部隊」「魔法」の3種類。これを3×3マスで仕切られた王国の領土に配置し首都を強化していく。

「建物」は「宮殿」や「タワー」のように砲台として戦闘に参加するものや、隣接する部隊を毎年1ユニット増やす「農場」などのバフ系。区画を破壊してゴールドを生み出す「抵当」などさまざま。

いかにお互いのシナジーを生かす配置ができるかが最大の悩みどころ。例えば、隣接するユニットの攻撃速度を毎年2%増加させる「ビーコン」を中央に設置して、その上下左右に攻撃部隊やタワーを配置するなど、限られたマスを上手く使いたいところ。

だが、そこはローグライク。狙ったカードが必ず来るわけではない。「1枚引いて1枚置く」シンプルさが、いい意味でとっても狂おしいジレンマでもある。

さらに王の固有デッキが9枚と微妙に少ないのが、またもどかしい。つまり、ほかの王が持っているカードを手札に加えないと、完璧なデッキが完成しないのだ。そこで目的のカードを持った王に宣戦布告して奪い取ったり、無益な争いを避けるために和平を持ちかけるのだが、これにもランダム要素が絡んでくるから厄介。

9 Kings

▲ランダム要素で思うように発展させられないところが悩ましくも楽しい。

Steamの公式ストアページでも「ゲームバランスを崩壊させて敵をやっつけよう」と明言されており、確かにビルド次第では簡単にバランスが壊れそうに見える。ところが実際は「あと100年は戦い続けられるわ!」とばかりに構築した自慢のビルドが、次のターンであっさり突破され、宮殿に肉薄してきたりするから面白い。

この絶妙に踏ん張ってくるバランスの正体は不明だが、筆者は9人の王の”気迫”だと勝手に解釈している。「やらせはせん、やらせはせんぞ~!」みたいな。絶対ないとは思うけど、本当にそうだったらちょっと嬉しい。

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小さいくせに大規模戦闘。1画面に詰まった戦場のロマン

9 Kings

▲大量のユニットが1画面で大激突するミニチュア感がたまらない!

ゲーム内では毎年、さまざまなイベントが発生する。中でも重要なのは、パッシブ効果をもたらす「王国評議会」や、領土を拡張できる「塔」のような固定イベント。時期が決まっているため、あらかじめ戦略に組み込めばビルド構築を優位に進められる。

その中でも最大の見どころが、毎年発生する戦争イベント。育てた数百、数千のユニットが一斉に陣形を整えて衝突する様は、まさに壮観。一方で戦場はたったの1画面。数十ドット程度の小さなユニットがちょこまかと奔走する。大規模なユニット数とミクロすぎる戦場のギャップがたまらない。

それでも戦闘は驚くほど熱く激しい。敵の猛攻をかろうじてしのいだ瞬間の達成感や、防衛線が破られたときの緊張感は、まさしく戦略シミュレーションの醍醐味そのもの。

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▲建築の状況によっては、中央を突破されるとなすすべなく首都を蹂躙される。

戦闘は一切のストレスを感じさせない完全オートバトル。三段階の速度調整も可能。最速にすれば、一瞬で決着がつくハイスピードバトルを堪能できる。プレイヤーは、まさに「戦場を見守る王」のような立ち位置なのだ。

ユニット数を増やしまくると、表示限界に近づいたPCが、戦意を鼓舞するドラムのように冷却ファンの咆哮をあげる。それすらも臨場感の一端として楽しめてしまうくらい、いろいろな意味で熱すぎるロマンがぎっしりと詰まっている。

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1プレイは短時間なのに、終わりが見えない高い中毒性

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▲勅令でパッシブ効果のスキルを発動して戦況を優位に進める。

本作は1周がサクッと終わるテンポの良さも魅力のひとつ。

筆者の体感では、1ゲームが30分ほどで終了。メモを取りながらの考察プレイでもこのスピード感なので、慣れればもっと短縮可能。

後半にアンロックされる王は非常に強力で、プレイ中に獲得したポイントを使ったパッシブスキルの強化が攻略のカギとなる。ビルド構築の試行錯誤と、王のスキル強化が自然に「周回プレイ」を促していて、繰り返し遊びたくなる中毒性に繋がっている。

ただし、1プレイが短いがゆえに「もう一回だけ…」が止まらない。ゲームの随所に「夜にプレイし始めたのに気づいたら朝だったトラップ」が仕掛けられていて、筆者もまんまと捕らえられてしまった1人だ。

9 Kings

▲とんでもない数のユニットが激突する。

本作は数字の設定が絶妙。9人の王が、9枚のカードを、9マスの領地に配置するユニークさもさることながら、33年というゲーム内の期間設定も巧みだ。プレイヤーに終着点を提示しながらも、ほどよいやり残し感も覚えさせる。このちょうどいい感じが本作の人気の理由だと、筆者は感じた。

ちなみに、最終戦争の終結後もプレイを続けることができる。年を重ねるごとにユニット数も難易度もうなぎ上りに上昇するから一筋縄ではいかない。

ちなみに筆者の最高記録は49年。これは挑戦し甲斐がある。

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9人の王はあなたの采配を渇望している

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▲最終決戦には巨大なボスも登場。

開発元はインディー・デベロッパーのSad Soket。まだ早期アクセス中ながら、ゲームとしての完成度は高く、今後のアップデートや正式版の展開にも大きな期待がかかる。執筆時点(2025年5月)のSteam上ではデモ版が「圧倒的好評」を獲得しており、既に多くの支持を集めているのがうかがえる。

ところで、「猫に九生あり(A cat has nine lives)」ということわざをご存じだろうか。何度も危機を乗り越えるしぶとさを表す言葉だが、どこか本作に登場する9人の王たちに重なるものを感じた。

敵に包囲され、城を落とされ、再び立ち上がる ──

そんな九死に一生を繰り返す王たちのあくなき戦いに、身を投じてみるのもいいのではないだろうか。

さあ、カードは配られた。次の王はあなただ。

『9 キングス』は5月23日(金)より早期アクセスで発売中。興味を持った人はぜひプレイしてみてほしい。

9 Kings

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発売日など基本情報

発売日

2025年5月23日

会社

Hooded Horse

ジャンル ストラテジー カードゲーム
対応ハード PC
価格
PC : 1,690円(税抜)
公式HP

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