スクエニ完全新作はなぜブラウザを選んだのか 「アンカル」開発者インタビュー[PR]
スクウェア・エニックスの完全新作「アンティーク カルネヴァーレ」(以下「アンカル」)が、「HTML5ゲーム」と「クラウドゲーム」を提供する新ゲームプラットフォーム「Yahoo!ゲーム ゲームプラス」でリリースされた。
タイトル発表時点から「どのプラットフォームになるのか」と話題になっていた「アンカル」だが、今回選択したのはブラウザゲームだった。
ネイティブアプリではなく、なぜブラウザなのか。その理由について「アンカル」を担当するスクウェア・エニックス第7ビジネス・ディビジジョン 運営プロデューサーの藤川 翔氏にお話を伺った。
スクエニ完全新作はDL不要!王道RPG×本格対戦ボードゲーム「アンカル」
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HTML5の進化で可能になったハイリッチなブラウザゲーム
—スクエニ完全新作「アンカル」を「ブラウザゲーム」としてリリースすることになった経緯をお教えください。
藤川 翔 氏(以下 藤川) 以前からHTML5が持つ技術力には興味をもっていました。僕自身、ブラウザゲームのプロデュースに携わった経験があり、ブラウザゲームの良さという点は理解していましたから。
とはいえ、ハイリッチなネイティブアプリゲームが溢れ、ユーザーの見る目も肥えている現在、リッチなゲームという点でブラウザゲームでどこまでクオリティが出せるのか…という不安があり、なかなかブラウザゲームに挑戦することができないでいました。
ところがHTML5がさらに進化して、かなり高いレベルの表現ができるということが分かってきたのと、さらにそのタイミングで会社としてYahoo! JAPANさんの新プラットフォーム「Yahoo!ゲーム ゲームプラス」向けに新しいゲームを作るという話も出てきたので、これはいい機会だと思い、チャレンジすることに決めました。
—ブラウザゲームならではの良さとは。
藤川 ユーザー目線でプレイした時に、改めて実感したのが「ダウンロード不要」というのはすごい楽だなということです。今のユーザーはいわゆる「リセマラ」などでアプリのインストール、アンインストールを繰り返しますが(僕もよくリセマラしますが。笑)、ブラウザはダウンロードいらないですからね。
それと、これは「Yahoo!ゲーム ゲームプラス」というプラットフォームならではかもしれませんが、機種間の移動がすごく簡単です。Yahoo! Japan IDがあれば、スマホでもPCでも簡単に、好きな環境でプレイできます。
ネイティブアプリでよくある引き継ぎコードを発行してデータを移して……という煩わしさがないので、とても便利ですよ。
—開発する上で感じたHTML5のメリット・デメリットは
藤川 デメリットというか、我々も手探りだったということもあり、けっこう苦戦はしました。
例えば、ネイティブアプリだとムービー演出はもはや当然ですが、ブラウザゲームだと動画データをアプリ側に置くというネイティブアプリの手法ができません。じゃあムービーをどこに用意すればいいのか。毎回ストリーミングさせるのか。
結局「アンカル」の召喚獣演出などは、Spineというアニメーションツールで、ムービー演出に見えるよう作りこみました。
とはいえ、そういう難しい面がありながらもやはりブラウザでここまでリッチに表現できるというのだだいぶ時代が進化したなと思います。昔はFLASHで頑張ると言った程度でしたから。もっと技術が普及すればその辺りも改善されるのかもしれませんね。
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スクエニが出すならただのボードゲームじゃダメだろう
—対戦型ボードゲームをコンセプトにした理由は。
藤川 「Yahoo!ゲーム」ってオセロや将棋などボードゲームが人気なんですよね。みんなやってるじゃないですか。
僕も暇なときやったりしますし。ですので、同じYahoo! JAPANのサービスである「Yahoo!ゲーム ゲームプラス」向けなのであれば、ボードゲームしかないだろということでコンセプトとして選びました。
正直、以前は「対戦ゲーム」というと敬遠されるイメージもあったので不安を感じてはいました。しかし最近は対戦ゲームもたくさん出てきて、皆さん気軽にリアルタイム対戦を楽しんでいますし、そういった環境の変化もコンセプト決定を後押ししました。
ただ、ボードゲームだけだとやり込み要素が少なくなってしまう。何よりスクエニが出すならただのボードゲームじゃダメだろうと。
そこでキャラ育成やバトルなどRPG要素を加えました。さらにスクエニの看板背負ってRPGと謳うからには、やはりしっかりとしたファンタジー世界を構築しなければならないということで、現在の形が出来上がりました。
—「アンカル」の世界観をお教えください。
藤川 まずこの世には4人の神々がおりました。
それじゃあダメだということで、1人の神がある掟を定めました。それは「一切の争いが禁じられ、全てがとあるゲーム「デュエル」で決まる」世界。
「デュエル」というのはいわゆるチェスに似たゲームで、「駒」を動かして相手のキングをとれば勝ち。そこで、その駒として「人間」を生み出したといった感じです。
しかし我々人間には心があって次第に「自我」が芽生えたんですよね。僕にも心ありますし。(笑)
それで、自ら考える力を得た人間は一つの事に気づくんです。全てがデュエルの勝者に従うルールなのであれば、神々にデュエルで勝てば神々を従えさせることができるんじゃないかと。
それから長い年月が過ぎた今でも、「デュエル」という文化は根付いています。
現代のデュエルは「ピース」という人形を使い、ピースに「クリスタル」の力を吹き込むことで動くピース(オートマタ的な)となります。実はクリスタルは当時神々と戦って戦死した人間の記憶である、という設定も裏にあります。
クリスタルの力を持ったピースは一定の能力を持った人間でないと動かせず、動かせる人間は「マスター」と称されます。
本作の主人公も実はその能力があって(というより主人公は実は●●で…おっとこれはネタバレなのでヒミツですね。)、それで無理矢理マスターにさせられるというところからゲームが始まります。
—「召喚士」というキャラクターの存在は。
藤川 あー、すみません。その話を忘れてましたね。
召喚士は「召喚獣」の化身です。召喚獣は神々の時代から存在していて、召喚獣も言い方を変えれば神なんですよね。4人の神々とはまた別の、神々からはみ出した神々。そのはみ出した神々は4人の神々が決めた掟を良くは思ってなかったんですよね。人間側も神々に挑むにはそれ相応の力が欲しかった。それで利害が一致して、人間と共に神々と戦ったのです。その争いの中で神により力を封印され人間の姿に変えられてしまったのが召喚士なのです。
—召喚士を仲間にしながら、神に封印された召喚獣の力を解放していくというのが、ストーリー上大きなポイントに?
藤川 そうですね、まぁあまりこれ以上言いすぎると面白くなくなるのでその辺りは是非ゲームで楽しんでいただきたいです(笑)。
キャッチコピーとして“自らの意思で動く人形は「人」なのでしょうか―”という文章を掲げていますが、デュエルの駒として使う「人形」、そしてそれを使う我々「人間」、しかし神々からすると我々「人間」も「人形」と同様といったような、その辺の謎は今後のイベント等でも深掘りできればいいなとは考えています。
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ユニット編成でどんな組み合わせが生まれるのかは我々も興味がありますね(笑)
—「アンカル」は3月末にクローズドβテストを実施していました。ユーザーの反応は?
正直「詰め込みすぎたな」という感じです。
チェス+RPGのバトルは概ね好評で、特にチェスのルールをご存知のユーザーからは高い評価をいただきましたね。ただ、面白いけど理解するまでに時間がかかる、分かりにくいという意見が多かったです。
まぁそう言われるだろうな、とは思ってはいました。(苦笑)
というのも、僕らもすごく悩んだ部分で、例えばチェス要素側だとその担当プランナーがすごく頑張っちゃって、チェスそのものを再現しようとして、開発初期なんかは「ルーク、ナイト、ビショップ、クイーン、キング」っていう全部盛り盛りな感じでしたね。最初からポーンはいなかったですが。
バトルRPG側も同様で、「戦士、騎士、竜騎士、狩人、格闘家、盗賊、僧侶、魔道士、魔法剣士、吟遊詩人」なんていう10ジョブもありました。削ろうと思えば削ることもできましたが、その分簡素にはなってしまうという悩みもあり、特にチェス部分は削りすぎると味がどんどんなくなりますからね。
ですので、そういったこともあって、バトルに特化した、小規模な本当の意味でのクローズドな「テスト」をさせて頂きました。
CBTの結果を受けて、難しくなりすぎず且つチェスの味が消えないように調整をしたのが今の形ですね。
ルークを2体にしたのも分かりやすさの追求の面もありますが、「本家チェスはルーク2体だから」という担当プランナーのこだわり面もあります。(笑)
—実際、リリース版でもバトルでの戦略性は非常に奥深いものになっています。
藤川 こだわりましたからね。どのピースにも使い道があるように、ピース1つ1つの特徴も入念にチェックしましたし、今後イベントなどでも出していく「スキルの書」で新しいスキルも追加できますし。
いつも運営してて思うんですが、ユーザーさんって簡単に僕らの想像を超えていくんですよね。だからきっと今回も僕らの想像をはるかに超えたデッキ編成をする人がいるんでしょうね(笑)。
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HTML5ゲーム市場とコミュニケーション対戦ゲーム「アンカル」の今後
—業界的にHTML5ゲームが注目を集めています。HTML5ゲーム市場への期待は。
藤川 「ブラウザゲームはクオリティが低い」という先入観を払拭するためにも、ハイリッチなブラウザゲームが今後増えて欲しいと思っています。ライバルが増えるのは大変ですが(笑)。
もちろんネイティブゲームのクオリティの高さはいうまでもありませんが、個人的には「今のブラウザゲームもそこまで差はないぞ」と思っています。
それを「アンティーク カルネヴァーレ」がきちんとお客さんに証明できてれいば嬉しいですね。「アンティーク カルネヴァーレ」以外にももっと多くのHTML5ゲームが出てユーザーに「ブラウザゲームってリッチじゃん」と思って欲しいと期待しています。
それと、最近はコンシューマーゲーム機でもブラウザを開くことができるじゃないですか。いつかは家庭用ゲーム機でブラウザゲームが遊べる時がくるのではないかと。DSやPS Vitaでもアンティーク カルネヴァーレやってみたいなぁと(笑)。そうしたらユーザー層も増えるし。
まあこれはよく社内の人間と夢物語として話すレベルですが(笑)。こういった意味でもリッチなブラウザゲームには期待しています。
—最後に、「アンカル」で今後どんな展開をしていきたいのかお聞かせください。
ユーザーコミュニティをしっかり作りたいと考えています。その上で早急にやらなければならないと思っているのは、リリース時点でβ版という出し方をしております「配信機能」の拡充ですね。
顔や音声の配信自体は現在の機能で可能ですが、将来的には投げ銭(チップ)といった機能をユーザーの反応を汲み取りながら徐々に追加していきたいと思っています。
いずれは、「アンティーク カルネヴァーレ」専属の人気実況プレイヤーが生まれたり、ユーザー主催の大会を行なったりしてくれたら嬉しいです。もちろん公式側でも公式の大会やオフラインイベントはやりたいと考えています。
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