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反射的に撃ったら、死んだ

敵NPCの姿を視界の端に捉えた瞬間、体が勝手に動いていた。照準を合わせ、引き金を引く。長年FPSで染みついた「見つけたら撃つ」という反射だ。
戦場に響き渡る銃声も虚しく、NPCはなかなか倒れない。そればかりか、間合いを詰めて体当たりしてきたり、やたら正確に爆発物を投げてくる。


必死に弾を撃ち込むうちに、音を聞きつけて駆けつけてくる別のNPC部隊。さらにその銃声に引き寄せられたのか、見知らぬプレイヤーが横合いから飛び出してきた。

▲戦闘で得たアイテムは没収。シビアな世界だ。
あっという間に挟み撃ちの形になり、持ち込んだ装備もろとも全ロスト。ロードアウト画面に叩き返されて、空になった保管庫を前に、「ああ、ここはそういうゲームじゃないんだ」と、ようやく理解した。
これが、Bungieの新作PvPvE脱出シューター『Marathon』で筆者が最初に学んだ教訓である。
※本稿はBUNGIEから商品の提供を受けて作成しています。
※2026年3月下旬に解禁予定のエンドコンテンツ「低温アーカイブ」実装前の時点でのプレイレビューです。
『Marathon』とは

『Marathon』は、PS5/Xbox Series X|S/PC(Steam)向けに2026年3月6日に発売されたPvPvEサバイバル脱出シューターだ。
開発は『Halo』『Destiny』シリーズで有名なBungie。1990年代の同名タイトルを下敷きにしつつ、現代の脱出シューターとして完全に再構築された作品となっている。
舞台は100年前に消息を絶った植民地「タウ・セティIV」。プレイヤーは「ランナー」と呼ばれる機械化傭兵となり、廃墟のコロニーに潜入して戦利品を漁り、脱出を目指す。

ゾーン内にはAI操作の「UESC保安部隊(侵入者であるプレイヤーと対峙する存在で、廃墟となった施設を管理する)」と「ライバルプレイヤー」が待ち構えており、PvPとPvEが渾然一体となった緊張感あるゲームプレイが展開される。
「撃たない」という選択肢がある独自の緊張感

筆者のなかで、FPS作品では敵を見つけたら即倒す「サーチアンドデストロイ(見敵必殺)」が基本だと長年信じてきた。だが『Marathon』は、その常識を根底から覆してくる。

本作では「撃つこと」そのものがリスクになる。銃声はマップ上にかなりの範囲で響き渡り(3月11日のアップデートで銃声の聞こえる範囲がさらに拡大された)、その音を頼りにNPCや他プレイヤーが集まってくる仕組みだ。
特にUESC保安部隊のNPCは侮れない。一般的なFPSのザコ敵を想像していると痛い目に遭う。体力が高く、連携して攻撃してくるうえ、発売後のアップデートで若干体力が引き下げられたとはいえ、それでも十分に強い。契約(いわゆるミッション)の目標地点でボスが湧いて難易度が跳ね上がるケースもある。

つまり、眼前の敵を「撃つか、スルーするか」の判断が常にプレイヤーに委ねられている。
ミッションをこなそうと移動していたら別のプレイヤーとばったり出くわす。このときも、即座に撃ち合いに持ち込むのか、互いに目を合わせたまま静かにすれ違うのか。その数秒間の判断が、ランの結末を大きく左右する。

▲他プレイヤーを倒したあとは、もちろん所持品漁り。ウィナー・テイクス・オールだ。
マップは絶妙な狭さに設計されていて、探索していると必ず他のプレイヤーと遭遇するようになっている。
契約の目標地点が重なることも多く、悠長にアイテムを漁っているとかなり危険だ。この「出会ってしまう距離感」が、本作の緊張感の核なのだ。
▲マップ上にいくつか設置されている転送装置を起動後、特定の範囲内にいれば脱出成功となる。
広大なマップで好きな場所を探索するタイプの脱出シューターとは、明らかにテイストが異なるといえるだろう。

もちろん、銃撃戦の気持ち良さに関しては文句無しの出来となっている。こちらは様々なサイトやユーザーから称賛されているため本稿では割愛する。
機械の体が熱を帯びる。世界観に溶け込んだゲームシステム

▲キャラクターが装着する「ランナーシェル」を選択中。能力向上やスキルに影響する。
『Marathon』のプレイヤーキャラクターは生身の人間ではない。肉体を捨て、生合成シェルに意識を転送した機械化傭兵だ。
この設定が単なるフレーバーではなく、ゲームプレイにまで影響を及ぼしている点が面白い。

▲画面中央にヒートゲージが表示されている。
本作には「ヒートシステム」と呼ばれるスタミナ管理がある。ダッシュやスライドなどのアクションを続けると熱ゲージが蓄積していき、上限に達するとオーバーヒート状態に陥る。こうなるとダッシュ不可、アビリティ使用不可という重めのペナルティが発生し、戦闘中であれば致命的な隙を晒すことになる。
ここで効いてくるのが環境との連動だ。水たまりや雨天の中にいると、ヒートの回復速度が上昇する。機械の体だからこそ、水で排熱が早まるという理屈。これが実にゲーム世界の設定と噛み合っていて、プレイしていて気持ちいい。
長距離移動をスムーズに行うために、近くの水場に飛び込んで体を冷やす。そんな判断が自然と生まれてくる。

こうした細部のシステムひとつとっても、「SFの世界に暮らしている」感覚が随所に仕込まれている。
ランナーシェルの設定、ファクション(派閥)の企業間抗争、ゾーンごとに異なる環境ハザード。それらは表面的な装飾ではなく、ゲームプレイそのものに世界観が浸透している設計は、さすがBungieという印象を受けた。
全部失っても「もう一回」と思えるカジュアルさ

脱出シューターの最大のハードルは「全ロスト」の恐怖だろう。せっかく集めた装備を失うのが怖くて手が出せない──そういう人は少なくないはずだ。筆者自身、まさにそのタイプだった。
だが『Marathon』は、その恐怖を驚くほど上手に和らげてくれる。

▲武器のほか、弾薬や回復アイテムも揃った便利な「スタンダード スポンサーキット」。
まず、武器庫から入手できる「スポンサーキット」の存在が大きい。「スタンダード スポンサーキット」は常に無料で在庫制限もなく、装備を全ロストしたあとでもすぐにバックパックに入れて再出撃できる。
自前の装備ほど強くはないが、ゼロからのやり直しにはならない安心感がある。ちなみに、3月11日のアップデートでは、無料キットの初期弾薬量も増加しており、序盤の戦闘が以前よりだいぶ楽になった。

さらにソロ専用のシェル「ROOK」という存在が秀逸だ。ROOKはランダムな武器を所持した状態で進行中のマッチに途中参加するスカベンジャーで、持ち込むものがなく、ミッションの受注・進行ができない代わりに失うものもない。

▲途中参加のため、序盤の小競り合いを回避可能。脱出自体は比較的簡単。
完全な手ぶらからスタートし、現地で武器を拾い、戦利品を漁って脱出を目指す。このスタイルが、脱出シューター初心者にとってはまさに練習台として機能する。

▲すでにほかプレイヤーに探索された場所も漁る。まさにスカベンジャー。
マップの構造を覚え、NPCの挙動を把握し、他プレイヤーとの距離感を学ぶ。そのすべてを低リスクで体験できるのだ。

また、基本的に1ランは25分前後と短めに設計されている点も特徴のひとつ。ゆえに失敗しても「もう1回行くか」と自然に思える。この周回前提のテンポの良さが、脱出シューターの敷居を大きく下げてくれているわけだ。
もちろん、即PvPに発展して撃ち負け、5分以下でKO……というのも珍しくないが。
誰も知らない世界を手探りで開拓する喜び

『Marathon』の世界には、既存のシリーズものにありがちな「前提知識」が必要ない。
タウ・セティIVは、プレイヤーにとっても開発者にとっても新規のSF世界だ。何が起きたのか、誰が何を隠しているのか。その答えは、ゲーム内のどこかに断片として散らばっている。

▲各ファクション(派閥)ごとに特色があり、それぞれの契約(ミッション)をクリアしていくとストーリーが進む。
実際、6つのファクションの契約を遂行していくと、コロニーに何が起きたのかが少しずつ見えてくる。

▲怪しげな研究施設。中で何が行われていたのだろうか……。
外周の研究施設、ダイア・マーシュの食糧研究所跡、アウトポストの前線基地など、ゾーンごとに異なる風景と残された痕跡から「ここで何があったのか」を想像する時間は、戦闘の緊張感とはまた違った味わいだ。
正直なところ、最初は何もわからない。UIはやや複雑で、ファクションの関係性もすぐには飲み込めない。だが、少しずつ理解が深まっていくにつれて、この世界に足場ができていく感覚がある。
気がつけば「次はあのゾーンで、あのサルベージ品を探して、あのアップグレードを解除しよう」と計画を立てている自分がいる。そうなったらもう、沼にハマっている証拠だ。

▲「https://cryoarchive.systems/」で公開されている謎解き要素。
そして今、この未知の世界はゲーム画面の外にまで広がりつつある。
発売直後からマップ内のターミナルが次々と起動し始め、プレイヤーコミュニティが協力してエンドコンテンツ「低温アーカイブ」の解放に向けたARGパズルを解き進めているのだ。
ゲーム内の暗号がリアルのウェブサイトにつながり、UESCマラソン号内部の監視カメラ映像が徐々に復旧していく。この「ゲームの謎が現実に越境してくる」体験は、Bungieが『Destiny』時代から得意としてきた仕掛けだ。
コミュニティ全体で未知に挑む空気が、今まさに形成されている。未知への探究心は、誰にも止められない。
エンドコンテンツ「低温アーカイブ」、その先へ

前述通り、本稿の執筆時点では、最高難易度のエンドコンテンツ「低温アーカイブ」はまだ解禁されていない。
レイドのようなセキュリティ対策を解除し、凍結された保管庫を解錠して、内部のアーティファクトを略奪。「7番目の保管庫を突破した先に、UESCさえも恐れる存在が待ち受けている」という意味深な予告など、気になる情報がいくつか公開されている状態だ。
3月下旬にはランクモードの解放も予定されており、すべてのシーズンアップデートが全プレイヤーに無料で提供されることも発表済みだ。

さて、改めて『Marathon』は、筆者にとって初めて「何度も遊びたい」と思えた脱出シューターとなった。
"見つけたら撃つ"FPSの文法が通用しない世界で、撃つか逃げるかを毎秒判断し、機械の体がオーバーヒートしないよう水場を探し、手ぶらのROOKで忍び込んでは戦利品を漁る。誰も知らないSF世界の断片を拾い集めながら、少しずつこの星に自分の居場所を作っていく。その過程が、ただただ楽しい。

もちろん、すべてが完璧とは言えない。UIの分かりにくさは課題としてあり、ファクション、契約、アップグレード、ロードアウト管理、これらの情報量に対して、導線の設計がまだ追いついていない印象もある。
ユーザーコミュニティでも議論されている点だが、Bungieも継続的な改善を明言している。慣れれば問題ないレベルではあるが、最初は面食らうかもしれない。

なぜかローディング中には虫系の映像が映るので、苦手な方は要注意。
逆に言えば、ゲームプレイの核となる部分、例えばガンプレイの手触り、マップデザイン、PvPとPvEのバランスなどは発売時点でかなりの完成度だ。
課題のほとんどがUIやエコノミーといった"周辺部分"に集中している点は、今後のアップデートで大きく改善される余地があるともいえる。
まだ見ぬ「低温アーカイブ」の先に何が待っているのか。その答えを、ぜひ読者の方たちと一緒に見つけに行きたい。
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発売日など基本情報
| 発売日 |
2026年3月6日 |
|---|---|
| 会社 |
Bungie |
| ジャンル | RPG シューティング |
| 対応ハード | PS5 / PC / Xbox |
| タグ | |
| 価格 |
PS5 : 4,072円(税抜)
PC : 4,072円(税抜)
Xbox : 4,072円(税抜)
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| 最大プレイ人数 |
3人
|
| 公式HP | |
| 公式X |
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この判定基準は「メーカーが発表している必要・推奨スペック」と「CPUやGPUなどのベンチマークスコア」を基に独自の基準で算出されています。
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