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「ヨカゼミュージアム」令和の時代にブラウン管で新作ゲームを遊ぶという贅沢……独自の美学を発揮しまくりの展示作品&コンサートレポ!

「ヨカゼミュージアム」令和の時代にブラウン管で新作ゲームを遊ぶという贅沢……独自の美学を発揮しまくりの展示作品&コンサートレポ!

最終更新 :
ヨカゼミュージアム

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「ヨカゼ」というゲームレーベルを、君は知っているか。

ヨカゼ」という、インディーゲームレーベルがある。

ヨカゼイメージ

「情緒ある世界の体験をあなたに。」を標榜して、『アンリアルライフ』『MINDHACK』など、洗練された美学を持つゲームを世に放つ才気煥発のゲームレーベルだ。

そんなヨカゼが、1日限定の展示イベント・コンサートを開催するという。

それが、ヨカゼとその制作・企画を手がける株式会社room6による展示イベント『ヨカゼミュージアム』とコンサート『Yokaze Acoustic Concert』である。3月22日(土)に、京都国際マンガミュージアムで開催された。

ヨカゼミュージアム告知画像

本稿では、その展示会とコンサートの様子をお届けしたい。

試遊コーナーでは新作タイトルをいくつか体験できたのだが、その体験もまた一風変わった内容だった。ヨカゼのゲームをあまり知らないという方も要チェックだ。

目次

元小学校が会場になった展示

今回、展示会場となったのは、京都国際マンガミュージアム。元々は、「龍池小学校」という小学校だったそうだ。

京都国際マンガミュージアム

ヨカゼミュージアムはその一室である、「会議室1」にて展示が行われていた。

マンガミュージアムの動線に沿うようにふらっと寄れる場所にあったので、老若男女問わず、恐らくヨカゼのファンもそうでない人も幅広く訪れていた印象だ。

ヨカゼミュージアム会議室

展示室に入場してまず目を惹いたのは、新作『ピギーワン SUPER SPARK』のネオン、そしてその横に置かれたブラウン管だ。

ヨカゼミュージアム展示概観

最初は「ブラウン管で映像を流しているのかな?」と思っていたが、近づいて見るとそうではないと分かった。

そう、ヨカゼのゲームの試遊を行っていたのだ。

ブラウン管のざらついた映像とヨカゼ作品の相性はぴったり。ゲームが魅力的に映るのはもちろん、この展示によって会場がヨカゼ作品の雰囲気で満ちていたのも間違いない。

遊べるタイトルの中には、未発売の新作も含まれていた。いくつか試遊できたので、具体的な内容については後述する。

ヨカゼミュージアム会場概観

▲会場が学校かつ明るすぎないこともあり、文化祭を思い起こさせる雰囲気。

ほかにも、ヨカゼ作品の設定資料やラフ画など、普段目にすることができない貴重な資料を見ることができた。

ヨカゼミュージアム展示資料01
ヨカゼミュージアム展示資料02

新作の資料も多めで、これからのヨカゼの動きにも期待できる展示内容だったと言える。

ブラウン管で新作ゲーム試遊

会場では新作ゲームの試遊を行えたのだが、その方法は先述の通りまさかのブラウン管でのプレイ

ヨカゼミュージアムブラウン管

ブラウン管でのゲーム試遊は筆者にとって未体験だったが、とてもヨカゼ作品の良さが強く出ていたと感じた。

ここからは、体験できた新作4タイトルを紹介したい。

※画面を直撮りしたが、走査線の影響で画面が見づらくなってしまったので、Steamストアページの画像を引用して紹介する。

ほのぼの不穏な和風鬼ごっこ『狐ト蛙ノ旅 アダシノ島のコトロ鬼』

▲狐と蛙の旅~アダシノ島のコトロ鬼~

狐ト蛙ノ旅 アダシノ島のコトロ鬼』は2025年発売予定の探索型3Dアクションアドベンチャーだ。

舞台は怪しく光る不思議な島、「アダシノ島」。主人公の狐の少女は友達のカエルと一緒に、この島を探索し家へ帰ることが目的だ。

狐と蛙の旅世界観

(引用元:『狐ト蛙ノ旅 アダシノ島のコトロ鬼』Steamストアページ

心を掴まれたのはこの独自の世界観。「千と千尋の神隠し」を想起させる怪しくも懐かしいアダシノ島を動き回るだけでも、かなりの満足感を味わえた。

設定面での作りこみも端々に感じられ、私たちの理解の及ばない“何らかのルール”を持つアダシノ島が、心地よくも不気味な雰囲気。

狐と蛙の旅鬼ごっこ

本作は2つのパートで構成されており、探索パートでは島民と会話を重ね島の秘密を探り、鬼ごっこパートでは追いかけてくる鬼から逃げることになる。

閃光を放てば鬼を足止めできるが、その回数は限られているので緊張感たっぷりだ。

Steamで詳細を見る

手触り・見た目・音すべてヨシ!ブーメランアクション『果てのマキナ』

▲果てのマキナ - ゲーム映像

果てのマキナ』は、2027年発売予定のブーメランとワープが特徴の2Dアクションだ。

記憶を失った主人公マキナは、投げた先にワープできる青い剣を手に、文明が崩壊した世界を冒険することになる。

果てのマキナアニメーション

(引用元:果てのマキナ - ゲーム映像

とにかく、「ブーメランを投げて、ワープして攻撃」の操作感がとても気持ちよかった。

戦闘で敵の背後にワープして斬りつける立ち回りは、まさに超能力者そのもの。打撃感溢れる効果音も乙な仕上がりで、操作の手応えも抜群だった。

Steamで詳細を見る

光の世界を巡る幽体離脱アクション『地下楼』

▲地下楼 - Trailer 2022

地下楼』は2025年発売予定の幽体離脱2Dアクションだ。

舞台となるのは危険なロボットが徘徊する幻想的な世界

主人公の少年「ヨカゼ」は、霊術を駆使しながら、アンドロイドの少女「シグモ」とともにこの世界の謎に迫ることになる。

地下楼画像

(引用元:『地下楼』Steamストアページ

特徴的なのは、主人公ヨカゼの幽体離脱アクションだ。壁をすり抜けたり、敵のロボットに憑依したりしてステージギミックを解いていく。

煌々と輝く機械の世界と霊術という取り合わせが新鮮で、光の表現も美しかった。

Steamで詳細を見る

「ずとまよ」MVアニメーターが参加する2Dドットアクション『ピギーワン SUPER SPARK』

▲『ピギーワン SUPER SPARK』 (PIGGY ONE SUPER SPARK)1st Trailer

ピギーワン SUPER SPARK』は、2025年発売予定のビビッドな2Dドットアクション

『アンリアルライフ』を手掛けたhako 生活さん、アーティスト「ずっと真夜中でいいのに。」さんのMVを制作していることでも知られるはなぶしさんがタッグを組んだ作品だ。

ピギーワンSS画像

(引用元:『ピギーワン SUPER SPARK』Steamストアページ

ある日、「シャミィ」と「ユエズ」が迷子の赤ちゃんを拾い、親の元へ赤ちゃんを返すことを目指す、といったストーリー。

バチバチとしたパワフルな動きが特徴で、ステージを走り回るだけでも楽しめた作品だ。

詳細なプレイレポは以下の記事で確認できるので、興味のある方はぜひ目を通してみてほしい。

関連記事
『ピギーワン SUPER SPARK』アイキャッチ
ピギーワンの骨太プレイレポはこちら!

作曲者たちのトークも聞けた温かいコンサート「Yokaze Acoustic Concert」

ヨカゼミュージアムアンコール

展示会だけでなく、同日開催されたコンサート「Yokaze Acoustic Concert」についてもレポートしたい。

本コンサートでは、これまでのヨカゼ作品の音楽を室内楽でアレンジされたものが披露された。

演目の合間には、今回のアレンジメントを務めヨカゼ作品でも作曲を担当している椎葉大翼さんや、ヨカゼ作品の作曲者さんの貴重なトークも交え、和かな雰囲気で進んでいった。

コンサートのセットリストは以下の通り。

オープニング
0Yokaze Museum 2025 Opening(動画)
『From_.』から
1前奏曲 -Prelude-
2舟歌 -Barcarolle-
3円舞曲 -Waltz-
『アンリアルライフ』より
4Unreal March
5Crazy Eyes
『Recolit』より
6はじまり -The Beginning-
7あの子 -That Girl-
8明かり -Light-
『狐ト蛙ノ旅 アダシノ島のコトロ鬼』より
9狐ト蛙ノ旅 -Kitsune: The Journey of Adashino-
『World for Two』より
10沼地 -Lagoon-
11森林 -Forest-
12砂丘 -Sand Dunes-
13遺跡 -Snow Ruins-
14夢想曲 -Daydreaming-
アンコール
15Yokaze Museum 2025 Opening(生演奏)

▲ヨカゼミュージアム オリジナルアルバム『Yokaze Acoustic Collection vol.1』試聴クロスフェード。

楽曲の進行は、概ね上記の試聴クロスフェードと一致する。再生しながら以下のレポートに目を通していただければ、現場の空気感もより伝わるだろう。

オープニング

最初に映像とともに音楽が流れ出し、コンサートの幕がゆっくりと上がった。

映像では電車のアナウンスを模した形でhako 生活さんのセンテンスも添えられており、これからはじまるコンサートの期待感をしっとり高められたのを覚えている。

ヨカゼの作品にはいつも音楽がいた(そのままの表現ではありません。)」という言葉が印象的だ。

『From_.』より

▲前奏曲

水の国の郵便屋の物語『From_.』からは「前奏曲」「舟歌」「円舞曲」の3曲がピアノ独奏で演じられた。

楽器編成がピアノの独奏であり、美しい旋律が音数少なく語られ、聴者の耳を研ぎ澄ます意味においても導入にぴったりだったろう。

「From_.」作曲の椎葉大翼さんが何気なく語った、「青と黒で構成されたゲーム」と「黒鍵と白鍵で構成されたピアノ」が重なるといった発言も付しておきたい。

『アンリアルライフ』より

▲【アンリアルライフ】サウンドトラック試聴動画 Disc1:青い本の秘密

モノの記憶を読み取る少女の謎を追うアドベンチャー『アンリアルライフ』からは「Unreal March」「Crazy Eyes」の2曲が五重奏(クインテット)で演じられた。

『From_.』からヴァイオリンなど4音増えたことで華やいだ音像で演奏されたのだが、2曲目「Crazy Eyes」はかなり不穏な曲。

作曲を担当したhako 生活さんからは、「初期はガレージバンドで音楽を作っていた」という体験談も聞けた。

『Recolit』より

▲Recolit - Original Soundtrack クロスフェードデモ

明かりを頼りに少年宇宙飛行士が深夜の街を歩く『Recolit』からは「はじまり」「あの子」「明かり」の3曲が五重奏(クインテット)で演じられた。

『Recolit』独特のぽくぽくとした空白感のある音色は、ピチカート奏法と呼ばれる弦を指で弾く奏法で再現。

当初はファミコンっぽいチップチューンで作成していたが、現在の音像に落ち着いたことが作曲を担当したつよみーさんから語られた。

『狐ト蛙ノ旅 アダシノ島のコトロ鬼』より

▲狐と蛙の旅~アダシノ島のコトロ鬼~

不思議な島で鬼ごっこする『狐ト蛙ノ旅 アダシノ島のコトロ鬼』からは「狐ト蛙ノ旅」が五重奏(クインテット)で演じられた。

本作は日本が舞台なので、メロディーもどこか和を感じるテイスト。フルートの音色が尺八に聞こえるくらい、ガラリと雰囲気がこれまでと変わった。

作曲を担当した剱すきまさんから、アレンジメントの出来で200点の評価を貰ったことを、椎葉さんが話していた。

『World for Two』より

▲「World for Two」オリジナル・サウンドトラック PV

博士とアンドロイドが生命を復活させるゲーム『World for Two』から「沼地」「森林」「砂丘」「遺跡」「夢想曲」の5曲が演じられた。

「夢想曲」に関してはピアノ独奏から四重奏、そして五重奏へと楽器編成が移り変わり、生命を徐々に増やしていく本編を思わせる。

作曲を担当した椎葉さんからは、「レトロなシンセの音は40年前の機器を購入して鳴らし、朝昼夜どの場面にも合うよう作成した」という話が聞けた。

アンコール

アンコールでは、オープニングで流れた音楽が生演奏されるという伏線回収的な演奏。

それぞれの楽器に見せ場が拵えられており、ヨカゼらしい情感のこもったメロディーが奏でられた。

独特なプロダクトも充実のグッズコーナー

展示会場では、ステッカーや今回のコンサートと同じ構成のCDなどグッズ販売も行われていた。

ヨカゼミュージアムグッズ

インクや線香花火、ドリップコーヒーやブランケットなど、ヨカゼのこだわり感じるシロモノもたくさんだ。

ヨカゼミュージアムグッズインク
ヨカゼミュージアムグッズブランケット
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まとめ「春の夜風が吹く帰り道」

今回、展示とコンサートを合わせると大体半日ほど楽しんだわけだが、通底するヨカゼらしさというものを随所で感じた一日だった。

ヨカゼミュージアムまとめ

個人的にヨカゼ作品はどこか寂しさを湛えているように感じるが、それは決して悪い寂しさではない。

一人の夜を調和してくれるような優しい寂しさだ。

そんなことを帰り道に考えさせてくれる力が、ヨカゼらしさが、今回のヨカゼミュージアムには確かにあった。

今後もそうした、ひっそり一緒にいてくれて支えになるようなヨカゼ作品のリリースやイベントに密かに期待したい。

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