“異能”×学園の心が震えるRPG『シカトリス』を先行プレイ!
日本一ソフトウェアから発売のゲームソフト『シカトリス』は、人類に発現することのある特殊な力“異能”がテーマの学園RPG。
本作の舞台は、“異能”で活躍する者もいれば暴走して罪を犯す者も現れ、秩序が乱れた世界。
プレイヤーは、異能使いの少年少女を集めた特殊学級「RAUT(予備対異常異能班)」三〇二分隊の教師として、「異能事件」に立ち向かっていくドラマティックなストーリーを体験する。
今回は、心に訴えかけてくるような強いメッセージ性のあるシナリオと、自由度高く戦略を立てられる育成・バトルの視点から、本作の魅力をたくさんお届けしよう。
目次
絶望&安堵で激しく揺さぶられるシナリオに心を奪われた
衝撃的な描写から物語は始まる
物語は、異能使いで構成された警察組織「AUT(対異常異能班)」に所属していた主人公「神谷蓮史」と、同僚であり彼の恋人「見山雪乃」のとある事件から始まる。
彼女は、ある日突然「異常異能」を発現してしまい、「AUT」に殺されてしまった。
「“異能”の力を活かすことができれば、人々はもっとわかり合えるはず」と、生前に話していた優しい雪乃に一体何があったのか。
冒頭は悲劇的な事件から始まり、異能犯罪や異常異能など複数の謎を感じさせられる内容となっている。
教師になった主人公と生徒たちの出会い
前述した事件によって力を失った主人公は、およそ半年後、異能を持つ少年少女が所属する予備対異常異能班「RAUT」に教師として赴くことになった。
それぞれ心に傷を負った生徒7人に出会い、主人公は不器用ながらも彼らの成長を見守る様子が描かれる。
最初は主人公を警戒していた生徒も、ゲームを進めるうちに少しずつ心を開いてくれる。
不安定で先の見えない世界の中で、主人公と生徒たちが懸命に前に進もうとする姿は、1本のドキュメンタリーを見ているかのようで、胸が熱くなった。
絶望と希望のループに目が離せない
心に傷を追った生徒がトラウマを乗り越えられなかったとき、異常異能になってしまう場合も。
これは起こりうる未来の一つであり、生徒全員を守るため、物語は条件に応じてループしていく。
新しい行動を起こし、絶望的な未来を希望に変えていくのを見て、筆者は主人公の諦めない姿勢に何度も勇気づけられた。
彼らの変化を主人公の視点から何度も経験することによって、キャラクターの内面が少しずつクローズアップされていく過程を楽しめる。
時にはクスッとしてしまう温かいシーンも
シリアスなシーンが印象的だが、みんなで自炊をしてにぎやかに食卓を囲んだり、ゴールデンウィークは遊びに出かけたりと、思い出に残るようなひとときを過ごすことも。
生徒たちの生き生きとした掛け合いをフルボイスで堪能できる作品となっており、ノベルADVのような雰囲気も感じられる。
絶望と安堵を行ったり来たりしている間に、夢中になってどんどん続きを追っていきたくなる作りとなっている。
背景・関係性が複雑に絡み合う味わい深いキャラクターたち
RAUT三〇二分隊に所属する7人の個性豊かなキャラクターたちは、本作をもっと奥深く魅せてくれる。
このパートでは筆者の気になった2キャラをご紹介させていただこう。
意外な一面がスパイスとなり、可愛さが引き立つ!
「朝日透真」は、主人公が最初に出会う生徒で、穏やかで優しい雰囲気の少女。
主人公のお手伝いをするなど献身的な態度に好感が持てるのだが、彼女の作る料理だけは…という意外な一面も持ち合わせている。
「篠森若葉」は、運動神経が抜群で元気な性格の少女。主人公と打ち解ける前は彼のことを「おっさん」と呼ぶなど、少々トゲが感じられる。
そんな彼女は勉強が大の苦手。生徒たちで集まってテスト勉強会を開いた際は、15分で集中力が切れてギブアップしてしまう。
主人公に泣きつき、サボりたいと甘えた声で訴える彼女は、普段とのギャップがすさまじく、思わずおねだりを聞き入れてしまいたくなる可愛さだった。
それぞれ悩みを抱える少年少女たち
「涼平春樹」は、明るくて爽やかな、みんなのムードメーカー的存在。
軽い雰囲気の彼はコツコツ努力することが苦手で、自分に自信が持てないことに悩んでいた。
そんな中、いつもクールなクラスメイトの「上城勇一」が、陰で自主トレーニングに打ち込んでいたことを知る。
上城から影響を受け、涼平は「自分も頑張ってみよう」と、訓練室に足を運ぶようになった。
一匹狼な上城は、涼平が自分に構ってくるのが気に入らなかった様子。
しかし、お互い負けず嫌いな性格もあってか、なんだかんだ打ち解けていくのを見ていて微笑ましくなる。
彼らが“異能”に目覚めるきっかけとなったトラウマやそれに関わる劣等感は、筆者にも共感できる部分があった。
特殊能力を持ち合わせながらも、人間味があってリアリティあふれるキャラクターたちだからこそ、ストーリーに奥行きを感じられる。
“異能”使いと過ごす不思議な学園生活
生徒7人と先生の少人数クラスではあるものの、学園生活は現実さながら。
平日は授業を受け、体育祭や文化祭、定期試験などのイベントもちゃんと用意されている。
教師として生徒たちを育成・サポート
学びの成果はバトルに活かすことができ、体力・集中力・知識・感受性など、8種類のステータスが関係していく。
まとまった授業の組み合わせから7人それぞれに選ぶ方法なので、情報量が多めであるものの比較的サクサクと進行できる。
キャラクターによっては苦手科目などを考慮する必要もあり、育成シミュレーションのような感覚でスケジュールを組んでいくのが面白かった。
授業の方針も変更することができる。厳しくするほどステータスが向上するが、生徒たちの元気度を示す「体調」が多めに下がってしまう。
休日は、生徒たちの「体調」を整えるために休息を取ったり、1人指名してお出かけしたりできるので、状況をよく見つつ成長を促していくのにやりがいを感じた。
スキルビルドや「専攻」でさらに自由度が高まる
授業やイベントで獲得したステータスが条件を満たすと、専攻している中からスキルを獲得していく。
キャラクターの育成が進むと、「専攻」の科目を選んで増やすこともできる。
専攻には、大きく分けて「攻撃」や「補助」のできるアクティブスキルと戦闘で自動的に発動するパッシブスキルの2種類が存在する。
「自身にヘイト(敵の関心)を集める」など、一見するとマイナス効果のようなスキルは、「攻撃を受けたら確率で反撃」などのスキルと組み合わせることで、戦闘でかなり役に立つだろう。
上に挙げたものはほんの一例にすぎないが、およそ300種類のスキルから自分の気に入った組み合わせを模索していけるのが特徴的だ。
「看破」でスピード撃破を目指せ!
自分次第の攻め方ができる戦略バトル
事件などで「捜査報告書」を貰うと、そこに書いてあるスケジュールに沿って捜査のイベントが発生。
「捜査」では、シナリオの進行といくつかの戦闘を乗り越えていき、最後は被疑者(ボス)戦の勝利を目指すミッションバトルが展開。
全ての戦闘にかかったターン数や総与・被ダメージ、戦闘不能回数を基にS,A,B…といった評価が算出され、報酬などが変化する。
本作の戦闘は、生徒の中から4人選んでパーティーを組み、コマンドを入力するターン制となっている。
生徒が自分の意思で使いたいスキルを提案してくるので、プレイヤーはその中から1人選んで行動させるというシステムだ。
自分たちの行動が1回なのに対し、敵である「異形」は多数の場合もあり、HPの管理や行動順が重要な歯応えのあるバトルとなっている。
強敵のデータを分析して戦法を考えるのが楽しい
不利な状況でも、敵の情報を知ることができる「看破」で戦闘前に対策を練っておけば大丈夫。
「異形」の使用してくる技の属性や相手の弱点に合わせて、キャラクターのスキルを適宜付け替えることで有利に立ち回れるように。
できるだけ少ないターン数で撃破するにはどう立ち回ったらいいか計画を立て、スキルや編成がうまく噛み合ったときはかなり嬉しいものだ。
7人全員で一体感ある戦闘体験を味わえる
決まったメンバーだけで攻略していこうとするよりも、7人全員の個性を活かしていく方がバランスよく戦える場合が多い。
元陸上部の「篠森若葉」は、足の速さを活かした強力な先制攻撃ができ、落ち着きがあって真面目な「朝日透真」は、みんなの盾になれるなど、その場に応じて1番の適役が変わっていく。
みんなで戦っているという一体感は、本作の絆を感じられるストーリーとリンクしていき、より没入感を高めていける。
まとめ
ここまで、『シカトリス』のプレイレビューをご紹介してきた。
“異能”がテーマの心を激しく揺さぶるようなストーリーと、300種類のスキルを使用した戦略バトルが魅力の作品。
筆者は、最初こそステータスや戦闘システムの情報量の多さに驚いたものの、慣れていくうちにノリノリになって学園生活もバトルも満喫していた。
難易度が選択でき、ターン制RPG初心者も、歯ごたえ十分の戦闘を求めている熟練者も楽しめる作品となっているので、気になった方はぜひプレイしてみて欲しい。
『シカトリス』の基本情報
発売日 |
2023年6月29日 |
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会社 |
株式会社日本一ソフトウェア |
ジャンル | RPG |
対応ハード | Switch / PS5 / PS4 |
タグ | |
価格 |
Switch : 6,980円(税抜)
PS5 : 6,980円(税抜)
PS4 : 6,980円(税抜)
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最大プレイ人数 |
1人
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公式HP | |
公式Twitter |
GameWith編集者情報
大学の休学期間中に遊んだ「ドラクエ」シリーズで世界観の壮大さに心打たれ、様々なRPGに興味を持ち始める。 中でも、近年は「原神」のストーリーや音楽に夢中になる日々を送っている。 また、ゲームのサブ要素にハマってしまう傾向があり、RPGで見られる料理作りや木の実採集などをとても気に入っている。 趣味はものづくり。 |