【本記事について(2025/09/06日追記)】
記事内容について、初出時に物語の核心に触れる表現・画像が含まれていたため、当該箇所の修正・加筆を行いました。

罪悪共鳴残酷RPG『Limbus Company』の世界観を見て沼に浸かろう!

いきなりだが、こちらのゲーム画像を見てほしい。これを見てあなたはどう思っただろうか?
「金髪美少女」「魔法少女」「カワイイ」など思うだろう。こちらはとあるキャラクターの必殺技のようなものなのだが、次にこのキャラクターの別の必殺技をご覧いただきたい。
可愛らしい美少女だと思いきや、絶望感満載の姿や声で技を繰り出す様子が確認できたのではないだろうか。
こちら、罪悪共鳴残酷RPG『Limbus Company』(リンバスカンパニー)というSteam、スマホ対応ゲームなのだが、プレイヤーたちの心を揺さぶるのが本当に上手い作品だ。

本作では、“囚人”と呼ばれるキャラクター達に、それぞれ専用の「人格(キャラのステータスや性能)」と「E.G.O(必殺技のような特殊なスキル)」を装備して戦っていく。
……のだが、本来のキャラクターの性格やそのバックボーンから大きく逸脱するレベルのものを実装することがある。
そんな人格はまさに「尊厳破壊」と言われるようなもので、「このキャラにそんなものを実装するなんて!なんてことしやがる…!(歓喜)」と私の中で話題だ。そして、同様の“嘆き”を持つユーザーもきっといらっしゃるはずである。

また、過去作(詳しくは後述)で登場したキャラクターなどの要素を実装することもあり、実装PVが発表されるたびに大きな盛り上がりを見せている。私自身も絶望と歓喜の往復が癖になっている。
といっても、「尊厳破壊」は『Limbus Company』を彩る要素のひとつにすぎない。本稿では、同作の世界観に触れながら、膨大すぎる魅力の、ごくごく一部について紹介させていただこうと思う。
なおこれから紹介する作品たちには専門用語が少し多いため、一部の単語はわかりやすいように表現していく。
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夏休みゲームレビュー祭まとめ2025
目次
ディストピアの最高峰と言っても過言ではない「Project Moon」作品

『Limbus Company』について語る前に、本作を手掛けた韓国のインディーゲームスタジオ「Project Moon」(以降、プロムン)のこれまでの作品について軽く紹介したい。
現在までに本作含め3作品がリリースされているが、これらはすべて巨大なディストピア都市が舞台となっている。
しかし、ただ“ディストピア”というわけでなく、理不尽で非人道的な世界観や描写が本シリーズの雰囲気をぐっと引き立たせている。
その要因の1つとして、それぞれの区域を管轄する企業が持つ技術・現象を総称した「特異点」の存在が大きい。

特異点の例として、「空間や時間などの概念に関与できる」といったものがある。一見、便利に思えるのだが、その特異性ゆえに企業によっては倫理からかけ離れた技術の応用がされていく。

実はかなり端折っているのだが、「都市」について語ろうとすると1記事分の分量になってしまうため詳細は割愛。
またスピンオフとして小説やボイスドラマなどもあるのだが、いずれも読者・視聴者の心に突き刺さる作品となっており、個人的には「ディストピアの最高峰」と評価している。
ということで、そんな各作品のネタバレを極力控えながらゲーム作品をサクッとご紹介。
『Lobotomy Corporation』

プロムン作品のメインシリーズ、その第1作目である『Lobotomy Corporation』(ロボトミーコーポレーション)。
数々の巨大な企業で構成された「都市」と呼ばれる世界で、そのうちの1つの区域を管轄する「L社」を舞台に、管理人としてモンスター(幻想体※)を管理していくシミュレーションゲーム。
※1作目では日本語では「アブノーマリティ」と表記されていた。次作の『Library Of Ruina』から「幻想体」に呼称を統一。
「アンジェラ」というAIアシスタントとともに、収容施設に職員を派遣して情報を集めつつ、エネルギーの生産を50日間行っていくというものだが、日を重ねるごとにさまざまな個性的なキャラクターたちと出会い、物語の真相に迫っていく。
冒頭で見せた「E.G.O」も本作から登場し、その実は「幻想体」をもとに作り出された非常に危険な装備だ。
『Lobotomy』での職員の扱いは「使い捨て」なことも多く、あくまでゲーム的要素として考えていたので筆者は何も感じなかったが、『Limbus』では大きな感情の揺さぶりをうけることとなる。
『Library Of Ruina』

『Lobotomy Corporation』のその後を描く『Library Of Ruina』(ライブラリー オブ ルイナ)。
本作では、都市に突如現れた図書館が舞台。「アンジェラ」と新たな主人公「ローラン」を中心に、図書館に招待したゲストと戦いながら“たった1つの完璧な本”を手に入れるカードバトルシミュレーションだ。
前作は「L社」内での話がメインだったが、本作ではほかの企業や都市全体のストーリーも見られるため、プロムン作品がどのような世界観なのかがより鮮明に描かれている。
ちなみにキャラクターボイスが実装されたのは本作からで、Steam版では韓国語、Switch版では日本語でのボイスを堪能できる。
『Limbus Company』

『Library Of Ruina』のエンディング後、旧L社の遺産である「黄金の枝」などの特異点の収集を目指し、閉鎖されたロボトミーコーポレーションの支部を巡るターン制RPG。
今作では、「L社」「図書館」といった特定の場所ではなく、バスで都市の中を移動しながら物語が進んでいくため、都市全体の世界観が深堀られていく。
これまで以上に作り込まれたディストピア感満載な世界に目を奪われることだろう。
『Limbus Company』の推しポイント
まとまりのなかった囚人たちの成長する姿

ここまでプロムン作品のディストピア的な要素について紹介してきたが、“では本作ではただ理不尽と絶望感しかない世界観やストーリーなのか”というと、そういうわけではない。
本作の大きな魅力として、囚人たちが精神的に成長していく姿が見られるというところにある。
序章では、同じ所属であるのに互いに殺しあったり個人の感情優先で軽率な行動をとったりと、あまりにもまとまりのない状態だった。
だが囚人たちがさまざまな思いを抱えながらも、ダンテ(プレイヤー)と心を通わせ立ち向かって成長していく姿はもう拍手喝采もの。
この、「挫折したり道を踏み外しそうになったりしながらも、足並みを合わせて共に乗り越える」という道のりが『Limbus Company』を語る上では外せないポイントだ。
ifの世界線

本稿の冒頭で紹介した通り、本作では囚人のそれぞれに対応した「人格」を装備させることで戦うシステムとなっている。
この「人格」についてはストーリー序盤で軽く説明が入るが、ざっくり言うと“別の世界線の自身の人格を借りる”という技術を用いている。
そのため、戦闘前に人格を入れ替えることで囚人としてではなく、例えばどこかの戦闘部隊としての自身や、本来歩むべき道から大きく外れた自身などのさまざまな姿で戦うことが可能なのだ。

もちろん人格によってステータスや使用するスキルが異なり、ステージにあわせて編成する戦略性が楽しめる。
だが本作では人格ごとのミニストーリーも用意されており、その人格が所属している部隊や団体に関する物語を見ることができる。
中にはシリーズ作品の世界観を深堀りするようなものやifストーリー・曇らせ要素などもあるのが人格の魅力の1つだ。
なおこれらの人格には「鏡」というワードが絡んでくるのだが、ストーリーの重要な部分にもなるため、その詳細については是非本作をプレイしてみて確かめてほしい。
『Limbus Company』の登場キャラ

本作では、プレイヤー視点で展開する主人公「ダンテ」や、12人の「囚人」と呼ばれる男女さまざまなキャラクターたちが新たに登場し、各章(メインストーリー)ごとに1人の囚人に焦点を当てた物語が描かれていく。
また本作は『Lobotomy Corporation』『Library Of Ruina』の続編となるため、これらの前作とごく一部ストーリーの繋がりを確認できる箇所も存在する。
前作の知識は無くとも十分に楽しめる作品ではあるが、シリーズをプレイ済みの人にとっては「あれ、この場面って…!」となる場面もあるので、ぜひこれら3作品によって積み上げられた世界観の深みを体感してほしい。
囚人全員を紹介したいところだが、こちらも記事1つ分の文章量になってしまいそうなので、ここでは筆者お気に入りの囚人たちをご紹介。
ドンキホーテ

記事冒頭でチラッとお見せしたキャラクター。ドンキちゃん。
囚人の中でも特に目立つキャラクターで、管理人のことを「カリジャナリイイイイ!(管理人殿)」と呼ぶなど元気ハツラツすぎる性格だが、ゲームをプレイしていくうちにだんだんと愛らしくなってくること間違いなし。
THE 騎士道精神といった心構えを持っているためか正義感が強く、時折暴走するトラブルメーカーになることもしばしば。
ホンル

世間知らずでどのような状況でもニコニコしながら話す人物で、どこか掴みどころの無いような雰囲気が漂う。
都市では珍しい不自由なく生きてきた人物で、自身が知らない文化などに対して好奇心で地雷を踏みに行ってしまう一面も見られる。
イシュメール

囚人たちの中では冷静に行動する比較的まともな人物で、合理的な判断力ができる頼もしいタイプ。
……だが、要所要所で毒舌や目の死んだ顔をすることもあり、時折自身の目的のためか焦りや苛立ちを見せる場面も。
作品をさらに彩る音楽ユニット「Mili」を聴こう
『Limbus Company』では、メインテーマや各囚人をモチーフとした曲などを「Mili」という音楽ユニットが提供(前作『Library Of Ruina』のメインテーマなども担当)しており、一部の曲ではMYTH&ROIDの“KIHOW”さんとのデュエットも。
これがまたステキなものばかりで、特に囚人モチーフの曲では彼らが抱えてきた苦悩やトラウマといった感情を巧みに音楽として表現していて、いつ何回聴いても鳥肌が止まらない仕上がりに。
これらの曲はMili公式YouTubeチャンネルにて視聴することが可能。執筆時点ではほとんどの曲が1,000万再生以上という脅威の視聴回数を記録しているほどどれも神曲だ。
本当に聴いた途端感動しすぎてファンになったほどなので、是非一度は聴いてみてほしい。
2025年9月には「アークナイツ」コラボも!

ここまで『Limbus Company』の魅力について語ってきたが、9月には『アークナイツ』コラボが実施予定。
本作のシステム的に『アークナイツ』のキャラクターたちが実装されるわけではないが、専用ストーリーや「E.G.O」4種などの登場が公式から発表されている。

さて、『アークナイツ』といえば「テラ」という巨大な土地が舞台の作品だ。
テラでは「源石(オリジニウム)」という様々なエネルギーとして活用できる鉱石が存在するのだが、これが人体に入ってしまうと身体が源石で蝕まれていく「鉱石病(オリパシー)」を発症。
治療法は無く、またこれによって死亡することで身体が破裂して新たな感染源になってしまうという恐ろしい病のため差別の対象にもなる、もはや地獄の人生が確定するレベルの世界となっている。
そんな世界観の作品と『Limbus Company』とのコラボはベストマッチと評価せざるを得ない。
果たしてどのような盛り上がりとなるのか今から楽しみ……!
まとめ:一貫した世界観と多面的な展開が生む唯一無二の体験

最後に、本作を含めたProject Moon作品の魅力について個人の見解をまとめてみたい。
まず、「振れ幅」の広さだ。冒頭で触れたような「E.G.O」は、1作目『Lobotomy Corporation』の世界観を深堀る要素ではありつつも、単なる特殊な装備という側面が強かった。
しかし、『Limbus Company』では、危険な「E.G.O」を、ストーリーを経て愛着が湧いたキャラに装備させることとなる。

そのため、ただ"強力な攻撃が出せる"というだけでなく、発動時の演出やセリフによってジレンマを抱かされたり、時には「E.G.O」に侵食されながら戦う姿に心打たれたりと大きな意味が生まれるのである。
また、本作では「人格」があることでキャラの「多面性」も帯びる。各キャラクターにありえたかもしれない人生が映し出されることで、想像が膨らんでいく。想像には喜怒哀楽さまざまな感情がセットになってついてきて、ユーザーのメンタルをさらに揺さぶってくれる。

もうひとつ「振れ幅」というキーワードで言うならば、Project Moonは作品ごとにゲームがジャンルが異なる。
『Lobotomy Corporation』はローグライクのシミュレーションゲーム、『Library Of Ruina』はカードバトルシミュレーション、本作はターン制RPGと、作品ごとにジャンルの振れ幅もある。さらに、前述のイメージソングに加えて、ノベライズ、ボイスドラマなどのメディアミックスの幅も広い。
根底する世界観は共有しながらも、プレイヤー/読者/視聴者/リスナーを毎回異なる興奮に誘ってくれる巨大エンターテインメントなのである。
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発売日など基本情報
| 発売日 |
2023年2月27日 |
|---|---|
| 会社 |
PROJECT MOON |
| ジャンル | RPG |
| 対応ハード | PC / アプリ |
| タグ | |
| 価格 |
PC : 無料
アプリ : 無料
|
| 最大プレイ人数 |
1人
|
| 公式HP | |
| 公式Twitter |
GameWith編集者情報

| 数年間遊んでいた幾つものソシャゲのデータが、スマホデータごと全て消し飛んだ哀しき過去を持つライター。好きなゲームは『アークナイツ』『ブルアカ』、音ゲー等々。ほとんどアニメを見ずに生きてきたので、最近は様々なジャンルのアニメを一気見して満足する休日を送っている。 |
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