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シナリオ制作会社「Re,AER」発のブランド「Acacia」。その処女作となる『魔法少女ノ魔女裁判』が2025年7月18日(金)にSteamにて発売された。
尖った広報、ダークで鬱ゲーチックなビジュアルや世界観、クラウドファンディングの大成功など、発売前からなにかと話題になっていたため、名前くらいは知っているという方も多いのではないだろうか。
— 魔法少女ノ魔女裁判 公式 (@13witch_Trials) July 16, 2025
▲広報の尖り具合の一端が感じられるであろう即落ち2コマ。
本作のジャンルは、公式曰く魔法議論×ADVミステリー。それぞれに事情を抱えた登場人物たちが閉鎖空間の中で共同生活を送り、やがて殺人事件が発生。犯人を特定・処刑し、犯人と被害者が減った状態で再び閉鎖空間での生活に戻る…。平たく言ってしまえば「デスゲーム」や「人狼ゲーム」であり、参加するキャラクターが魔法が使える「魔法少女」であるという点が特徴と言える。

そんな本作を、ミステリーもアドベンチャー(ノベルゲーム)も大好きな筆者がプレイしたので、感想をお届けしよう。
なお、筆者は本作をクリア+全スチル回収までプレイ済みで、当然本作の結末も知って筆を執っているが、このレビューはストーリーのネタバレになるような内容は含まないことを始めにお約束しておく。
その上で、もう結論から言っておくが本作は「メチャメチャオススメ」だ。広報の尖り具合に反して、むしろ多くの人に刺さる大衆向けの作品として丁寧に作られているように感じられた。
出来ればなんの事前情報も無くプレイしたほうが絶対に面白い作品なので、今の時点でプレイするか迷っているくらいの状態ならすぐにSteamにアクセスして買って遊んでほしい。
Steamで詳細を見るそれでは前置きが長くなったが、購入に踏み切れない未来の「共犯者」諸兄のために、レビューを始めようと思う。
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目次

魔法少女ノ魔女裁判
謎の牢屋敷での過酷な囚人生活
国に災厄をもたらす不死の存在、魔女。
人間たちの中には魔女になる因子を持って産まれる者がおり、15歳になると「魔女候補」として孤島の牢屋敷に収監され、囚人として過ごすことになる。
魔女因子を持つ者は魔法を使うことが出来るが、強いストレスを受けると魔女化が進行し、きわめて強い殺人衝動と妄想に支配されてしまう。

▲牢屋敷の管理を担当する「ゴクチョー」。CVはなんと中尾隆聖さん。
本作の物語は主人公・エマを含む13名の「魔女候補」の少女たちが牢屋敷に収監されるところから始まる。当然、囚人生活は自由も少なく食事も不味い。ストレスまみれだ。やがて魔女化による殺意に飲まれ、殺人事件が起きてしまう…。

▲「魔女候補」の少女たちはそれぞれが魔法だけでなくトラウマも持つ。トラウマに関わる出来事は大きな負担となり、加速度的に魔女化が進行してしまう。
殺人事件が発生すると、「魔女裁判」が執り行われる。「魔女候補」の中から犯人を探し出し、魔女として処刑するのだ。

牢屋敷とは?魔女とは?少女たちをこんな目に遭わせた黒幕とは?そしてエマたちの運命は…?序盤から謎だらけで非常に先が気になる作りになっている。
デスゲームモノらしい狂気と驚きに満ちたストーリーが楽しめるのだ。

▲序盤から伏線が散りばめられている。考察しながら進めるのも面白い。

魔法少女ノ魔女裁判
個性豊かな13名の魔女候補!でも好きになればなるほど後がツラい…!?
牢屋敷で囚人生活を共にする「魔女候補」たちは皆個性豊かで魅力的。イラストが可愛くて綺麗なのはもちろんのこと、どのキャラも属性がハッキリしていて、見た目だけでもどんなキャラかすぐに判別できる分かりやすさがある。

▲購入前からの筆者の推しはコチラの黒部ナノカさん。物知り顔でなぜか銃を持っている、如何にも怪しいクールキャラだ。

▲プレイしていて大好きになったのが自称名探偵で「怪力」の魔法を持つノンデリ妖精・橘シェリーさん。声優さんの名演にも注目してほしい。
少女たちはわけもわからず監禁された状況かつほぼ全員が初対面のため、最初はギスギスしたシーンも多く見られるが、物語が進むにつれ徐々に友情が芽生えたり、意外な一面が見れたり、多彩な表情を見せてくれる。そういった関係性や心情の変化も、本作の見どころの1つ。

▲そして裏切られたり…。

▲意外に感じる組み合わせのキャラ同士が仲良くしていたりも。本当にいろんな魅力が描かれる。
具体的なことを語ろうとするとネタバレになってしまうのであまり深く紹介できないのが歯がゆいところだが、シナリオを読了して13人の魔女候補全員を好きになれた。
デスゲームモノによくある、序盤で退場してしまうキャラがあまり活躍できないといった心配も不要。13人全員がいろんな意味でしっかり活躍するので、これからプレイする人も安心して少女たちを好きになってほしい。
まぁ、キャラを好きになればなるほどその後の殺人や裁判がツラくなっていくのだが…。
次項からは、そんな裁判パートを含むゲーム部分について紹介しよう。

魔法少女ノ魔女裁判
見応えたっぷりのお楽しみ要素(?)が楽しいADVパート
ゲームの流れとしては、ストーリーを読み進めるADVパートと、犯人をあぶり出す魔女裁判パートを交互に繰り返すことで進行していく。殺人事件が起きると魔女裁判の前に捜査パートが挿入されるが、ゲームとしてやることはADVパートと変わらない。

▲捜査含むADVパートでは、マップから行き先を選択してその場にいるキャラとの会話劇を楽しんでいく。
ADVパート内では選択肢が提示されることも。ハズレを選ぶとバッドエンド直行な上、選択肢自体けっこうな数用意されているのだが、このバッドエンドがまた面白い。
バッドエンドということで少女たちは悲惨な目に遭ってしまう。しかしその一方で本筋の伏線や世界観理解のための補完となる情報が散りばめられていたり、各キャラの新たな一面が見られたりと見応えたっぷりで、「少女たちが悲惨な目に遭うのを見るのはツラい…けど見ちゃう」作りになっているのだ。
ハズレ(アタリ?)の選択肢には判りやすくドクロマークが表示され、バッドエンド後はすぐに選択肢の直前に戻れる親切設計になっているため、安心して悲劇に飛び込んで行けるという寸法。キャラの魅力や世界観を活かした良いお楽しみ要素と言えるだろう。(もちろん悲惨な目に遭う少女たちにとってはお楽しみどころではないのだが…。)

▲ドクロマークの表示は設定でON/OFF切り替え可能。OFFにしてハードモードを楽しむのも良いだろう。
余談だが、このバッドエンドは本作のクラウドファンディングのリターンとして元々の収録予定数よりも追加して制作されたとのこと。正気か?(誉め言葉)


魔法少女ノ魔女裁判
魔法アリの推理バトルがアツい魔女裁判パートは処刑ボタンが最高に最悪(誉め言葉)
魔女裁判パートでは、集めた証拠や情報をもとに、「魔女候補」たちと議論を交わしていく。
議論中の各キャラの証言は自動で進行し、発言の中の赤いワードを選んで反論したり、証拠を提示したりすることで矛盾を暴き、事件の真相へと近付いていく。この手のゲームを遊んだことがある人には馴染みのあるシステムだろう。

▲赤ワードは多数登場。ちゃんと推理して適切なワードを選び、適切な反論をする必要がある。
間違った指摘をしてもペナルティは無く、なんなら面白おかしいツッコミが見られるので、積極的に間違えてもらいたい。不正解時のツッコミパターンはかなりの数用意されており、各キャラの個性を活かした「エマ虐」が見られる。緊迫した裁判の中で清涼剤になるし、ヒントが得られることもあるのでどんどん間違えよう。

▲バチバチの討論の中で、的外れな発言をしたエマに対しては皆さん息ピッタリにツッコミを入れてくれる。へこむエマが可愛くてついつい間違えてしまう。
ただし議論には制限時間があり、時間切れになるとゲームオーバーだ。この手のゲームに慣れた人ならそれなりに余裕があるが、赤ワードや証拠を総当たりするにはそこそこ厳しいくらいの時間設定になっており、適度な緊張感を演出してくれている。
なお、タイムオーバーにもしっかりとバッドエンドが用意されている。専用のスチルまで用意されているので、見たい人はしっかりとセーブした上で時間切れを待ってみるのも良いだろう。

▲軽い感じで少女たちを酷い目に遭わせることをオススメする筆者も正気ではないかもしれない。
また、序盤の内は「反論」くらいしかできないが、相手の発言に「賛成」したり、「疑問」を投げかけ発言の掘り下げをしたり、敢えて「偽証」することで相手から情報を引き出したりと、シナリオの進行や事件の内容に応じて様々なアプローチが取れるようになっていく。ゲーム性とシナリオがリンクし、裁判の盛り上がりと没入感の向上に一役買っている。
本作は魔法が存在するという、いわゆる「特殊設定ミステリ」と呼ばれるジャンルになるが、この点に関しても大満足。魔法の情報は過不足なく明示されており、その上で「能力の詳細はあくまで本人の自己申告」「魔女化が進むと魔法が強化される」といった点まで含めて上手く組み込まれており、プレイヤー自身が推理に参加する楽しさに繋がっているように感じた。

▲しっかりとフェアな推理が出来るようになっており、「この魔法はこういうトリックに使われそう!」と予想して遊ぶのも楽しい。
さらに、忘れてはならないのが裁判中の演出だ。
ダークで尖った印象が強い本作だが、要所要所で少年漫画的なアツい演出が盛り込まれ、討論に爽快感をもたらし、カタルシスを味わえる。

▲効果音も最高に気持ち良い。
議論の末に犯人を暴くと「処刑」が執行される。処刑ボタンはプレイヤーが押す必要があるのだが、これがかなりネットリとした長押しになっており、愛着が湧いたキャラクターを処刑するという辛い現実をこれでもかと突きつけてくるのだ。つくづく最悪なゲームである(誉め言葉)。

▲想像より2段階くらいネットリじっくり長押ししないと処刑してくれなくて本当にツラい。
処刑シーンはどれも少女たちのトラウマを抉るものになっている(ついでにプレイヤーの心も抉られる)。誰がどう処刑されるのかはプレイして確かめてみてほしい。

魔法少女ノ魔女裁判
積み上げて積み上げて…壊す!デスゲームの魅力をとことん追求した傑作
全体を通して、とにかく丁寧に作られた作品。シナリオには無駄なシーンが一切なく、すべてがキャラの魅力を引き出し、没入度の高い魔女裁判と併せて驚きや悲しみといったデスゲーム体験を最大限に増幅することに繋がっている。デスゲームモノの有名どころは一通り履修済みの筆者でも、良い意味で予想を裏切られっぱなしだったし、泣いたシーンも多かった。特に中盤あたりからは本当にやめ時がなく、夢中になってぶっ通しでプレイしてしまった。
クリアして改めて、公式サイトやストアページのアレやソレ、果ては尖った広報すらも本作の魅力を最大化するための伏線だったように見えてくるのだからとんでもない完成度だ。

▲キャラを好きになればなるほど、キャラの死に対する驚きや悲しみが大きくなる。でもさぁ…こんなん尊いじゃん…。
思うに、「全キャラがしっかり活躍して、全員好きになれた」という筆者の感想は、まさに開発者の思うツボなのだろう。「こわす前につみあげる必要があります。大切につみあげていきましょう。」とは公式の言葉だが、本作はその言葉を体現したような内容になっている。いわゆる日常シーンから1つ1つ大切に積み上げて、積み上げて…。丁寧に壊すことでプレイヤーの心を揺さぶってくるのだ。
さらに凄いのが、これだけ鬱ゲーっぽい顔をしておいて「全キャラがしっかり活躍して、全員好きになれた」からか、意外にもプレイ後の気分は晴れやかだ。心は抉られるが、「丁寧に壊す」からこそ傷口は綺麗と言うか…。

▲守りたいこの笑顔。
グロ表現もかなり配慮されており、多くの人が楽しめる内容になっているように思う。デスゲームモノ好きはもちろん、ミステリーADV好きな人も、単にカワイイ女の子がいっぱい出てきたら嬉しいという人でもおそらく楽しめる。前述の通り、やめ時が無くぶっ通しで遊べるので夏の連休にもぴったりだ。
公式がネタバレにある程度寛容な点も含め、致命的なネタバレを踏んでしまう前に、この夏最高のデスゲームを体験してみてほしい。筆者もどうにかして記憶を消し去ってもう一度遊んでみようと思う。

『魔法少女ノ魔女裁判』はSteamにて、3,500円(税込)で発売中。Switch版もリリース予定のため、PCが無い方は全力でネタバレを回避して待とう。

魔法少女ノ魔女裁判
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魔法少女ノ魔女裁判
『魔法少女ノ魔女裁判』とは?

Acaciaから発売のPC,Switch対応ゲームソフト『魔法少女ノ魔女裁判』は、少女たちが魔女裁判を行うミステリーアドベンチャー。
本作の主人公は、高校1年生の「エマ」。彼女は魔女であるという疑いをかけられ、絶海の孤島にある謎の屋敷に閉じ込められてしまう。
同じ理由によって屋敷に連れてこられた複数の少女たちと生活する中、殺人事件が起きた。事件をきっかけに、少女たちの裏切りと殺し合いによる、魔女裁判の物語が描かれていく。
牢屋敷の真相に迫る謎解きパート、そして、美麗イラストで描かれる少女たちの繰り広げる裁判パート両方を楽しめる本格的な推理ゲームとなっている。

発売日など基本情報
発売日 |
PC: 2025年7月18日 Switch: 2025年 |
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会社 |
Acacia |
ジャンル | アドベンチャー |
対応ハード | PC / Switch |
価格 |
PC : 3,181円(税抜)
Switch : 未定
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公式HP | |
公式Twitter |

魔法少女ノ魔女裁判
GameWith編集者情報

幼少期に初めて遊んだ『SaGa2秘宝伝説』でゲームにハマり、『メモリーズオフ』でオタクになった甘党おじさん。 レトロゲームを買い漁るのが好きで、購入した中古ソフトをクリーニングする作業が至福の時間。 ゲーム以外ではギターが趣味だが、夜な夜な取り憑かれたようにゲームのBGMを演奏しだす厄介な習性がある。 |
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