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あなたは、あまり腕っぷしの強くない学友2人と共に塾から帰る道すがら、コンビニの駐車場でヤンキー15人に取り囲まれてしまった…。この絶望的な状況を、たった3人でどう切り抜けるだろうか?
「そんなシチュエーションが、現実にあってたまるか」
そんな声が聞こえてきそうだが、それが「当たり前」なのが、今回紹介する『エブリデイ・ウィー・ファイト(Every Day We Fight)』の恐ろしいところ。
このピンチを打破するために開発者がプレイヤーに与えた能力は、なんと「タイムリープ」。
▲Every Day We Fight - Gameplay Overview | Turn-Based Tactical Roguelite
プレイヤーの部隊が全滅すると、キャラクターとプレイヤーの記憶だけを残して、毎回、時間を遡って再スタートとなる。
時をかける能力で取り戻せるのは「青春」だけだと思っていたが、どうしてこうなった。一体なぜ開発者は、タイムリープで圧倒的な兵力差を埋められると考えたのだろうか。
しかしプレイヤーはゲームを進めるうちに、無数に繰り返すことで初めて見えてくる攻略の糸口に気がつく。
はたして、タイムリープで数の暴力に抗うことはできるのか?そして、「時間」に込められた開発者の意図とは。
目次

インディゲーム100選!

Every Day We Fight
押し寄せるエイリアンを相手に、たった3人で挑む。対抗手段はタイムリープ!?

▲戦闘の基本はオーソドックスなターン制。
『エブリデイ・ウィー・ファイト』は、「油断したら即あの世行き」の骨太な難易度が魅力的な、ターン制ローグライト・ストラテジーだ。地球外生命体「リフターz」に支配された地球を舞台にプレイヤーは、人類最後のレジスタンス3人を率いて、謎のボス「カーグ」を追跡する。
本作を攻略するうえで大きな障壁となるのは、なんと言っても敵勢力の数の多さ。ミッションにもよるが5倍くらいの戦力差は普通のこと。
それも、一気に登場するのではなくて、一定間隔で増援として転送されてくるから厄介だ。やっと倒したと思ったら、もう次の増援が迫っているなんてことはザラ。

▲ホテルミッション。エントランスは吹き抜けになっていて、絶好の待ち伏せポイントに。
序盤、筆者はとあるホテルから装置を奪還するミッションで、正面突破を試みたものの、待ち伏せしていた敵に高所から蜂の巣にされ、すぐさま増援が押し寄せてきて全滅——という散々な結果だった。
この猛攻に対抗する唯一の手段が、タイムリープだ。
プレイヤーの部隊は、たとえ全滅しようとも、すべての装備品を失って直前の時間に戻されて再スタートできる。幾度となく倒れても、不死鳥の如く蘇り、エイリアンをばちぼこに叩きまくってやるのだ。まさに無敵ではないか。
いやいや、タイムリープで再挑戦できるとはいえ、倒した敵は復活するし、部隊はいつだって3人きり。
この理不尽な戦力差を、どう埋めればいいのさ!?

Every Day We Fight
本作の戦場で微笑む勝利の女神は、「数」ではなく「記憶」がお好き

▲フリーロームのマップを探索して、各種強化パーツを発見できる。
いくらなんでも、タイムリープでエイリアンの物量に対抗するのは無茶すぎる。筆者の理解が全然追いつかないので、ここで一旦落ち着いて、あらためて思考をぶん回してみる。
死んだらすべてを失って再スタートするのは、要するにローグライトの「デス・ペナルティ」と同じだ。ならば、繰り返しプレイに攻略のカギが隠されているはず。
全滅後も部隊が引き継げるのは、クラフト素材のスクラップと、キャラクターのスキルポイント、そしてプレイヤー自身の経験の3つ。
だめだ、兵力差を埋める要素が全然ない。

▲押してダメなら引いてみろ。突入口は正面だけじゃない。
だが、何度も全滅するうちに筆者は、ホテルの構造が想像以上に入り組んでいて、侵入口も複数存在していることに気づいた。そこで、2名を3階に配置して上から急襲、残る1名を階段に潜ませて待ち伏せする作戦を決行することに。
これが見事にハマった。5倍の敵を蹴散らし、こちらの損害ゼロという大戦果を上げたのだ。
なるほど、同じ時間を繰り返しながらも、プレイヤーだけが唯一、前回のタイムラインとは違う行動を取ることができる。
筆者は、そもそもこのシステムの本質を取り違えていたのだ。
タイムリープすることで積み上げるのは兵士の数じゃない。プレイヤーの記憶そのものだ!

Every Day We Fight
さまざまな経験のピースを組み上げる、戦闘という名のパズル
そう結論付けると、突拍子のない本作のシステムが俄然、輝きを増してくる。
何度タイムリープを繰り返しても、敵の配置やマップ構造は変わらない。変わるのは、前回の失敗を生かすプレイヤーの行動だけ。つまり本作は、繰り返しの中で戦術を最適化する「知略パズル」なのだ。
骨太なストラテジーでありながらパズル的。これこそが、本作の面白さの源泉だと筆者は感じた。

▲仲間とのシナジーを考慮してビルドを構築しよう。
3人のキャラクターも「遠距離」「近距離」「支援」と役割が分かれ、それぞれに固有スキルが用意されている。こうした限られたピースで「どう組み合わせるか」を試行錯誤するのが、まさに戦略パズルの醍醐味だろう。
本作は骨太なバランスであることも手伝って、冒頭の無茶ぶりをひっくり返したときのカタルシスを、脳がビシバシと感じまくる気分爽快ゲームなのだ。

Every Day We Fight
ターン制なのにリアルタイム!?時間の緩急を巧みに使い分ける、スリリングな戦闘が魅力

▲戦闘以外でもFPS視点で射撃する場面がいくつもある。
タイムリープに限らず本作は、時間の流れに緩急を付けて、効果的にシステムに取り込んでいる。これが、本作のゲームプレイの大部分を占める戦闘を、より楽しいものへと昇華している。
本作の戦闘は通常、各キャラクターが順番に行動するターン制を採用する。しかし攻撃時には一転、FPS視点に切り替えてリアルタイムで狙いを定める。引き金を引いた瞬間にスローモーションが発動し、逃げ惑う敵を確実に追撃する冷静さが求められる。

▲マップの仕掛けを解除して道を切り開くことも。
一方で、時限装置の爆発や、敵の攻撃を緊急回避するなど、急き立てるような行動に迫られる場面もあって、常に緊張感が伴う戦闘には心が躍る。
従来のターン制ストラテジーにはない試みが面白い。
プレイヤーが追いかける謎のボスを倒すたびに、少しずつ進む時間軸が進むストーリーなど、さまざまな時間ネタを、よくぞここまで特盛でシステムに盛り込んでくれたと、開発者に拍手を送りたいくらいの仕上がりだ。

Every Day We Fight
すべてのSF系ターン制ストラテジー好きにおすすめできる

▲残された人類3人が、なぜ中年の男女ばかりなのか。本作最大の謎である。
本作は、王道の「エイリアンと戦争する系」のSFターン制ストラテジーだ。往年の名作『エックスコム』シリーズが好きなユーザーには、間違いなく刺さる作品となっている。Steamにはデモ版もある。
ぜひ、迫り来るエイリアンのガチっぷりを繰り返し体験して、その記憶を武器に、時間を越えたエクスタシーを、その身で味わってほしい。

Every Day We Fight
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発売日など基本情報
発売日 |
2025年7月10日 |
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会社 |
Hooded Horse |
ジャンル | ストラテジー |
対応ハード | PC |
価格 |
PC : 3,618円(税抜)
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公式HP | |
公式Twitter |

Every Day We Fight
GameWith編集者情報

フリーランス物書き。ドーナツ食べながら子どもとゲームするのが至高。好きなジャンルはインディーズとFPS/TPS。ゲームの腕前は皆無のポテトゲーマー。ジャンルやタイトルに捕らわれずゲーム業界全体に興味があります。ゲーム以外にはアウトドア系やローカルニュースなどを執筆中。普段は塾講師、ときどきラジオパーソナリティ。 |
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