『ダンロン』から6年。まったく新しいゲームとして現れた『レインコード』
かつて、その独特すぎる作りでゲームファンの度肝を抜いた『ダンガンロンパ』というシリーズがあった。
そのジャンル名を「ハイスピード推理アクション」という独自のゲームシステム、アクが強いのに好きになってしまうキャラクター、息をつかせぬ予想外のシナリオ。「面白い」とはこういうことだ!と言わんばかりの高いエンタメ性に、多くのプレイヤーが魅了された。
しかしシリーズは、2017年に発売された『ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期』を最後に続報が途絶える。もうしばらく新作が出ることはない……という空気がファンの中にも流れていた。
そんな中『ダンガンロンパ』制作チームの新作として発表されたのが、『超探偵事件簿 レインコード』だ。
ジャンル名は「ダークファンタジー推理アクション」。そのジャンル名の類似からも、実質『ダンガンロンパ』の新作なのか?と色めき立つファンも多かったことだろう。
このたびGameWithでは幸いにも、6月30日の発売に先駆けて本作をプレイする機会をいただいた。
その結果、「これは『ダンガンロンパ』の新作ではなく、『ダンガンロンパ』からさらなる進化を遂げた新しい推理アクションだ」という結論に至ったので、どういうことなのか解説していきたい。
目次
ゲームの流れ
事件解明の鍵を探せ!「調査パート」
まずはゲームがどのような流れで進行するのか説明しておこう。探偵見習いを務める主人公「ユーマ=ココヘッド」は、各章でなんらかの事件に出くわすことになる。
事件に出くわしたら、まずは「調査パート」が開始。近隣住民や事件関係者への聞き込みにはじまり、事件現場や過去に起こった類似事件の調査を行っていく。
しかし本作の謎は手強く、ときに歩き回るだけでは解けない謎が立ちふさがる。たとえば「すでに現場処理された、過去の事件の現場を確認したい」という場合だ。
現実世界だったらそんなことはできないので、迷宮入りになって終わり……なのだが、本作では仲間の探偵たちが持つ「探偵特殊能力」をもって現実ではありえない方法で調査することができる。
たとえば序盤にタッグを組む超探偵・ハララ=ナイトメアの能力は”過去視”。その名のとおり「過去を視る」ことができる能力で、かつて起こった殺人事件の現場を見ることなどお茶の子さいさい、というわけだ。
こうして事件を解く鍵が揃うと、調査パートは終了。とはいえ、相当勘のいいプレイヤーを除けば、この時点では事件の全貌どころか一端も見えていない。
このまま解決編に進まれても手も足も出ず、困り果ててしまうことだろう。
ナンデモアリ空間で謎を解け!「謎迷宮パート」
そこで始まるのが「謎迷宮パート」だ。「謎迷宮」とは相方キャラである「死に神ちゃん」の能力で現われた、謎を具現化したダンジョン。一言で言えば、謎を解くためのナンデモアリ空間だ。
ここは事件の謎がトラップ・怪人・ギミックなどさまざまな形で主人公に襲い来る。ここぞとばかり派手な演出やゲーム性のオンパレードなのだが、ここでは一部だけ簡単にお伝えするに留めておこう。
■スポットセレクト
謎迷宮に事件現場などの重要な場面が再現され、「犯人はどこから逃げた?」といった問いにスポット選択で答えていく。
■推理デスマッチ
謎迷宮では、現実世界で事件の解決を望まない人間が「謎怪人」として登場することがある。謎怪人が仕掛けてくる攻撃を回避し、正しい「解刀」(手がかり)で矛盾した発言を斬りつけることができれば勝利だ。
■死に神ちゃん危機一髪
謎を解くためのキーワードを、「死に神ちゃん」が標的の黒ひげ危機一発風のゲームで見つけ出す、どことなく癖(へき)を感じるミニゲーム。
樽に浮かんでいる文字を正しい順に刺し、キーワードを作り出せれば成功だ。
■密室再現
ミステリでは定番の「密室」。これがどのように作られたのか、実際に手順を再現してみるゲーム。再現しながらわかってくるケースも多く、「この物体をこう使えるのか……」と感心してしまうことも。
■超推理フィナーレ
事件の全体像がわかったら改めて事件をイチから整理する、章の総集編とも言えるパート。漫画のようにコマ割りされている画面にいくつか欠落があるので、正しいコマを入れ込んでいく形だ。
これを終えて事件の犯人が確定したら、「謎迷宮パート」は終わり。現実世界に戻ることになる(戻ったあとどうなっているかはプレイしてのお楽しみ)。
ゲームの魅力
謎解きの快感とアクションの快感が同期する!ここにしかないゲームシステム
『レインコード』を特徴づけているのは、何よりもまずそのゲームシステムだろう。一般的に謎解きゲームといえば、表示された選択肢から正しいものを選ぶことで進行していく。
『レインコード』でも選択肢を選ぶ場面は出てくる。しかしそれは「謎迷宮」によって「打ち砕くべき巨岩」のような姿を取り、「正しいボタンを長押し」することで破壊できるのだ。
もちろん、間違った選択肢を選べばダメージを受ける。これはほとんど、アクションゲームの駆け引きじゃないか?
言いたいのは、「推理もアクションも両方楽しめる」ということではない。推理とアクションが同期しているということだ。
推理で正解を出すことは気持ちいい。そしてアクションでものをぶっ壊すことも気持ちいい。この二つの快感が、別々のものではなく一つのものとして組み合わさってやってくる。これは、このゲームでしか味わえない感覚だ。
『ダンガンロンパ』シリーズでも単なる謎解きにとどまらないミニゲームはあったが、どちらかというと「謎解きに対する味付け」という印象だった。
本作ではこれが本筋と呼んで差し支えないほどまで昇華され、「もし謎解きがなくてもアクションとして面白い」レベルのゲームが揃っている。
雨に濡れた、サイバーパンク感あふれる美しい都市
本作の舞台となるのは「カナイ区」。どういうわけか雨が降り止まない奇妙な街で、雨に関する文明が異様に発達している。
たとえばドローン傘がそのひとつで、持ち主に自動追尾してくれる優れもの。確かに延々と雨が振り続ける世界では必需品だろう。
雨にけぶる薄暗い街並みにはネオンライトがよく映え、一瞬ゲームプレイを忘れるほど美しい(思わず、未解決事件が多発している危ない街であることを忘れそうになってしまう)。
『ダンガンロンパ』もそうだが、謎解きゲームという分野に(イラストや演出のよさは別として)美麗グラフィックのイメージはあまりない。しかし『レインコード』では、RPGの新作と比較しても遜色ない街並みを楽しめる。
調査のためにすみずみまで探索する街だからこそ、視覚からもワクワク感を摂取できるのは非常にいいところだ。
小悪魔な相方、個性的ながら頼れる先輩、色々やかましい敵……魅力的なキャラクターたち
本作の魅力を語るならキャラクターのよさは外せない。特に相方ポジションにあたる「死に神ちゃん」は、そのビジュアルのよさも相まって発売前からすでに多くのファンを獲得しているようだ。
彼女の言動は理不尽で悪魔(死神?)的だが、絶妙に愛嬌がありかわいらしい。場面によってはプレイヤーの本音を代弁するかのような率直な発言が飛び出し、思わず笑ってしまうこともある。
一方で、時たま見せる冷酷な顔は背筋が凍る恐ろしさ。コロコロと表情が変わり、見ていて飽きない輝きを持つキャラだと言えるだろう。
仲間の探偵や敵キャラクターにも、能力から性格まで「個性的」という言葉には収まりきらない魅力を持つキャラが多い。
それぞれのキャラに多様な側面があり、その言動に色々な意味でドキッとすることも。ぜひ実際にプレイして、自分がどのキャラに恋をするかワクワクしてほしい。
まとめ
以上、『レインコード』のプレイレポートをお送りしてきた。ネタバレに抵触するのを避けるため実際よりうっすらした部分しか書けていないが、とにかく濃密なプレイ体験だった。『ダンガンロンパ』にもあったゲーム性が一部引き継がれつつ、新たな作品として大きな飛躍を遂げたと言って差し支えないだろう。
本作の発売は2023年6月30日。プレイする予定の人、この記事を読んで興味を持ってくれた人は、あともう少しだけ正座して待っていよう。
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『レインコード』の基本情報
発売日 |
Switch: 2023年6月30日 PS5: 2024年7月18日 PC: 2024年7月18日 Xbox: 2024年7月18日 |
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会社 |
Spike-Chunsoft |
ジャンル | アドベンチャー |
対応ハード | Switch / PS5 / PC / Xbox |
タグ | |
価格 |
Switch : 6,345円(税抜)
PS5 : 6,350円(税抜)
PC : 6,350円(税抜)
Xbox : 6,350円(税抜)
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最大プレイ人数 |
1人
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公式HP | |
公式Twitter |
GameWith編集者情報
考察厨。好きなジャンルはRPG、アドベンチャー、謎解き。ゲームのシナリオや構造のことであーでもないこーでもないと考えるのが好き。 幼少期から好きなソフトを周回しまくる習性があり、「ドラゴンクエストⅤ」「ドラゴンクエストⅥ」の通算クリア回数はそれぞれ30回を超えている。 |