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ゲームのキャラクターに感情移入してしまった……皆さんもそんな経験はないだろうか?
たとえば筆者は『レッド・デッド・リデンプション2』の主人公アーサー・モーガンに気持ちが入り過ぎてしまって、最後の戦いに向かう道中では涙があふれてコントローラーを握れなかった。
『ゼルダの伝説 時のオカリナ』のナビィもそうだった。ずっとリンクの側にいて苦楽をともにした彼女は……以下ネタバレのため割愛するが、心の中で何度叫んだかわからない。
そして、メディア向け先行試遊会に参加する機会をいただき、『Beast of Reincarnation』(ビースト・オブ・リンカネーション)をプレイした筆者は、その対象が人物やそれに類するものだけとは限らないことがわかった。
いま「犬」に猛烈な愛着を感じている。

▲2025年公開の初報で画面全体からほとばしる「ワビサビ」を感じ、「これぞ日本発のゲームの美しさだ!」と誇らしく思ったのは筆者だけだろうか。
本稿では、プレイフィールとディレクター古島康太氏へのインタビューから、本作が目指したまったく新しい「バディ体験」の核心に迫っていきたいと思う。

▲グラップリングフック的な移動も可能。縦横無尽にフィールドを駆け抜ける。
なお、今回筆者がプレイできたのはチャプター1まで。また、開発中のビルドであるため、製品版とは一部仕様が異なる場合があるのでご留意いただきたい。
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目次
頬ずりしたくなる相棒クゥとの出会いと独自の「共闘」システム

▲巨大なボスと対峙。この戦闘がとにかく熱い。
『Beast of Reincarnation』は、ゲームフリークが開発するPS5,PC,Xbox Series X|S対応の3DアクションRPG。崩壊から約2000年が経過し「穢れ(けがれ)」と植物に飲み込まれた西暦4026年の日本が舞台だ。
人間は、体が植物のように変化した「腐蝕体」と呼ばれる動物に突如襲われ、文明は壊滅状態となり生き残りはわずかばかり。
感情と記憶を持たない主人公のエマは、倒した腐蝕体を体に取り込む能力を持つ「穢れ人」として、輪廻の獣を討伐する役目を負う。
しかし、ひょんなことから、本来なら敵対するはずの腐蝕体の犬、クゥと出会い、ともに京都まで旅をすることになる。

エマの相棒であるクゥはモフモフで、思わずほっぺたをスリスリして「そうでちゅか〜」ってやりたくなるほど、でっかくて、白くて、かわいい。

▲絶対に気持ちいいに違いないモフモフ加減がたまらない。
おまけに、おりこうさんだ。適当にフィールドをぷらぷらしているだけで、先行して敵やアイテムを見つけてきてくれる。クゥ、お前はなんて有能なんだ。
そして、クゥ最大の見せ場は「コマンド指示」を出しながらともに戦う独自のバトルシステムだ。やり方は簡単。「クゥ」ボタンを押すだけ。

▲クゥの技を選択するときは、周囲の時間がスローになる。焦らず、ゆっくり技を選べる。
エマを操る戦闘中に「クゥ」ボタンを押すと時間が超絶スローに流れるので、この隙にさまざまな効果を持つ「開花技」を選ぶ。決定ボタンを押すとスローが解除され技が発動する。
開花技は「敵を拘束するトラップ系」や「エマの足場や移動に使える花を咲かせる移動系」、「敵にダメージを与えるとともにエマのHPを若干回復する回復系」など多彩。どの攻撃と技を組み合わせて戦うのか。無数の選択肢の中から技を選んで敵を倒していくのが楽しい。

▲エマはどこにでもツタを発生させることができる。これを伝って自由度の高い移動が可能だ。
じゃあ、開花技をゴリゴリ使いまくれば楽勝じゃん!? と思ったあなた。残念だけど開花技には「FP」(フラワーポイント)が必要だ。無制限に強力な技をジャンジャン使う「オレつよ」プレイはできない。
そこで登場するのが、最重要アクション「パリィ」。FPはエマが敵の攻撃を果敢に受け流すことで溜まっていく。
そう、エマとクゥはまさに一心同体の共闘をしているのだ!
反射神経と戦術が融合する、思考パズル的アクション

▲パリィの判定はわりと緩め。タイミングが合わなかったと感じても、まあまあ成功する。
え、パリィはタイミングが難しそうで苦手?
いやいや、本作のパリィは入力の受付時間も長めで初心者でも成功しやすく、苦行のような練習は必要ないから安心してほしい。
とはいえ、多数の敵に囲まれたら大ピンチだし、要所で出てくる強敵やボスはちゃんと手ごわい。
筆者はノーマル難易度でプレイしたが、ボス戦ではそこそこ苦戦した。ただしこれは、敵のパターンや行動を見切るまでのこと。一度、攻撃パターンを把握してしまえば、じつは驚くほどあっさり撃破できる。

▲開花技を発動するとQTEが出現。成功すると技が強化される。
ターゲットを観察して、仮説を立て、実践する。
本作の攻略プロセスはめちゃくちゃ優秀だ。プレイしていて楽しさしか感じない。たとえるなら「数独」のような思考パズルのロジックに近い。
その流れの一例を説明しよう。
まずセミオープンワールドのフィールドを自由に探索する。クゥは犬なので当然、エマより鼻が利く。やれ「向こうに敵がいる」だの「あっちにアイテムがあった」など、ここ掘れワンワン並みに大活躍。
実際、敵がいる場所に行くと、当たり前だが敵が5体ほど警戒態勢でがんばっている。突っ込んでもいいが、エマの髪をツタにして敵の頭上に這わせ、それを足場にして最後方にいる敵1体をステルススキルで抹殺する。
案の定、それに気づいたほかの敵の攻撃をパリィしまくる。ダウンゲージを溜め切って「絶」状態にすれば、一撃必殺の「確殺」を決めることができる。

▲パリィで敵の攻撃を受け流すとダウンゲージが溜まって「絶」状態に。一撃必殺のチャンスだ。
ここでクゥの出番。パリィのおかげで爆上がりしたFPを使い、開花技で後方にいる敵をまとめて行動不能にする。すかさずエマの大技をお見舞いして殲滅完了……。
そんな、頭と連携を駆使した戦闘が激烈にエモくて楽しい。なんというか本作の戦闘は「指先」の気持ちよさだけではなく、いい塩梅で頭脳を駆使する心地よさもあるのだ。
モフモフとのふれあいに悶絶。和風SFな世界観の作り込みも圧巻

▲なんとクゥと一緒にシャワーを浴びることができる!
そうこうして、過酷な死闘を終えて移動拠点「浄化船バウエラ」に帰還すると、クゥとのふれあいタイムまで用意されている。これは単なる癒し機能じゃなくて、親密度を上げてスキル装備枠を拡張するなど、ちょっとした実用的な機能だ。
汚れにまみれたクゥと一緒にシャワーを浴びて、毛並みを撫でて愛でる……。
え、やだちょっと、クゥとずっと一緒にいたいかも……。毎日、朝と夜に散歩に出かけて、休日は遠出してドッグランを駆け回ったり、自然豊かな川や池で水泳を楽しんだりしたいかも!
いや、残念ながらゲームではそんなことできないんだけど、船内での料理や仲間たちとの交流を通じ、崩壊世界における「生活感」と「バディの絆」が丁寧に描かれていることに好感が持てる。

▲コスチュームのディテールがかっこよすぎる……。
これは筆者の個人的な好みなのかもしれないけど、本作のアートワークやデザインって、いちいちかっこよくないっすか!?
和風なのにどこかミリタリーチック。クリーンな近未来感ではなく、薄汚れた無骨なSF世界が素敵すぎる。エマやボス敵はもちろん、無数のザコ敵にもこうした美学が貫かれている。
フィールドには日本の豊かな植生を約20〜30種の植物で表現していて、季節の移り変わりや、荒地が一瞬で森に変わるリアルタイム・バイオーム変換が景観を彩る。

▲オープニング直後、地上に降り立った瞬間からすでにかっこいいというすばらしさ。これから始まる冒険にワクワクさせられる。
さらに、無口な1人と1匹の感情を表現するためBGMにはボーカル楽曲を採用するなど、世界観が尋常じゃないくらい作り込まれている。
ストーリーにも序盤から特盛級の驚きがぶち込まれている。チャプター1しかプレイできないなんて、正直、ぜんぜん足りない。
見つめ続けると死んでしまうという「三日月」の言い伝えが語られ、カメラを上に固定し続けるとマジでゲームオーバーになるなど、得体のしれないギミックまで仕込まれていて不穏過ぎる。

▲空を見つめていると何故かゲームオーバーになる。
とにかく気になる要素が満載だ。果たしてエマとクゥは無事に京都にたどり着けるのか。そして、そこで待つものとは……。この夏の思い出は『Beast of Reincarnation』で大決定!と、筆者は思う。
【インタビュー】開発の裏側に迫る! 古島ディレクターが明かす「寂しさと温もり」の真意

▲本作のディレクターを務めるゲームフリーク・古島康太氏。
試遊会の冒頭で、ディレクターの古島康太氏のトークセッションが行われた。ここからは、トークセッションでのやり取りと、その後、筆者が行った単独インタビューの内容を併せてお届けする。
――バトルが気持ちいい作品に仕上がっていますね。
古島氏:じつは最初からアクションゲームを作ろうと決めていたわけではありませんでした。最初にあったのはジャンルではなく、プレイヤーの心に「過酷な世界を相棒と一緒に旅をすることで、その頼もしさや温もり、そして寂しさを体験させたい」という、とても感覚的なコンセプトだけでした。
そのコンセプトを実現するためには何が必要かと突き詰めていった結果、エマの「パリィ」とクゥの「コマンド指示」という、アクションの気持ちよさとRPGの戦略性を併せ持った独自システムに行き着きました。

▲スキルツリーによるキャラクタービルド。エマだけでなくクゥにも同様のツリーがある。
――「寂しさ」という言葉がありましたが、本作においてはどのような意味合いを持っているのでしょうか。
古島氏:完全に1人きりの状態では感情の起伏が生まれず、本当の意味での寂しさは味わえません。頼もしい存在や温もりが傍にあるからこそ、ふとした瞬間に「寂しさ」を深く味わうことができます。その感覚を得るために、主人公だけではなくもうひとつの存在が必要でした。
そこで、言葉による説明ではなく行動で絆を育む体験を描くため、人間の仲間ではなく「物言わぬ動物」を選びました。
さらに、コマンド指示を的確に聞いてピンチを助けてくれる説得力を持たせるため、猫ではなく犬(クゥ)になったというわけです。
――なるほど、すべてが「感覚」からの逆算なのですね。ハイエンドなグラフィックや、舞台を日本に選んだのもその一環でしょうか。
古島氏:その通りです。過酷な世界で絆を育むという感覚を表現するためには、デフォルメされた世界よりもフォトリアルなグラフィックのほうが説得力があると考えました。
また、ただ整然とした道を行くだけでなく、乱雑で高低差のある地形で困難な旅を表現するには、日本の起伏に富んだ地形が最適だったんです。本作では関東から京都へ向かうような道のりをイメージしています。
社内のリソースだけでこの規模の作品をすべて作り上げるのは難しかったため、今回はハイブリッドな開発体制を取りました。社内のコアメンバーがディレクションやプロジェクト進行に注力し、実際の制作はUnreal Engine 5の技術に長けた多数の外部パートナー企業様と連携して進めています。
多くの方々と協力しながら、我々としても研究を重ねて地道に作り上げてきた作品です。

▲フィールドに点在する野営地では、消耗品の補充やセーブなどが行える。
――シナリオも古島さんがご自身で執筆されたそうですね。設定の構築において影響を受けた作品などはありますか?
古島氏:世界観の構築という意味では『ブレードランナー』などのSF作品から影響を受けています。
文明が滅びた状態を感覚で作るだけでなく、「工業製品が作れないから和服が主流になる」「人間が機械に魂を移したゴーレムが支配階級にいる」といったように、因果関係を論理的に紐解いて必然性を持たせていきました。
シナリオの執筆にあたっても、数十冊の書籍を読んで「英雄の旅(ヒーローズ・ジャーニー)」などの構造を学び、ロジカルに組み立てています。
ちなみに、ゲーム内に登場する料理のフレーバーテキストなどもすべて私が書いています。
――バトルの難易度についてはどのように調整されているのでしょうか。
古島氏:難易度は「STORY」「NORMAL」「HARD」の3段階からいつでも変更できるようにしています。絶対に初見ではクリアさせないような高難度を目指しているわけではなく、クゥのスキルを変更してみたり、戦い方を変えたりする試行錯誤を楽しんでほしいという意図があります。
アクションが苦手な方でも、クゥへの指示を工夫することで実質的に難易度を下げるようなアプローチも可能ですので、怖がらずに遊んでいただきたいですね。

▲ゲームオーバーから復帰するとこの状態で目覚める。なんかグッとくるね。
――最後に、ユーザーへひと言お願いします。
古島氏:開発がスタートしてから約6〜7年、ついに発売をお伝えできる段階まで来ました。エマとクゥがどんなふうに生きて、どんな結末を迎えるのか、エンディングを最後まで見届けていただきたいです。
この世界でしか得られない感覚をご用意したゲームになっていますので、ぜひ楽しみにしていただければと思います。
ゲームフリークが挑む新境地を行くのは、無口な1人と1匹
インタビューで驚いたのは、先行プレイで感じた「アクションの気持ちよさ」や「クゥへの愛着」は、偶然の産物などではなく、すべて開発陣がプレイヤーの感情を揺さぶるために、ロジックで組み上げたものであったということ。
古島氏が「エマとクゥがどうなるのか、エンディングを最後まで見届けてほしい」と語っていたが、その旅路の果てに待っているのは「カタルシス」か、それとも「ミザリー」か、興味は尽きない。

▲1人と1匹の進む先にはなにが待ち受けているのか。
期待と不安の入り混じる新しい一手を、この口数の少ない「1人と1匹」に任せたことに、筆者はゲームフリークのただならぬ本気さを感じている。
万人受けしそうな、キャッチーでポップな選択をせず、ごまかしの効かないガチンコのリングに上がった。『Beast of Reincarnation』は、そんな凄みを感じさせる一作に仕上がっている。
GameWith編集者情報

| フリーランス物書き。ドーナツ食べながら子どもとゲームするのが至高。好きなジャンルはインディーズとFPS/TPS。ゲームの腕前は皆無のポテトゲーマー。ジャンルやタイトルにとらわれずゲーム業界全体に興味があります。ゲーム以外にはアウトドア系やローカルニュースなどを執筆中。普段は塾講師、ときどきラジオパーソナリティ。 |
発売日など基本情報
| 発売日 |
2026年8月4日 |
|---|---|
| 販売元 |
Fictions |
| ジャンル | アクションRPG アドベンチャー |
| 対応ハード | PS5 / PC / XBOX |
| タグ | |
| 価格 |
PS5 : 7,253円(税抜)
PC : 7,254円(税抜)
XBOX : 7,254円(税抜)
|
| 最大プレイ人数 |
1人
|
| 公式HP | |
| 公式X |
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2026/08/04発売
Beast of Reincarnation
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7,254円(税抜)




