
とことんリアルで激ムズ!でも最高の本格ラリーシム
「ラリー」とは、一般の公道で行うレースで、競技区間をタイムアタックし、そのスピードを競うモータースポーツ。
通常、同時走行するのは自分のマシンただ1台。
絶え間なく変化する路面を制して、ライバルより秒でも速くゴールを駆け抜ける。
そんな、自分とのガチンコ勝負がラリーの醍醐味なのだ。

今回は人気レースシミュレーション『Assetto Corsa』シリーズの最新作『アセットコルサ・ラリー(Assetto Corsa RALLY)』を猛烈に大紹介!
最大の特徴は、「ゲーム史上最強クラスのリアルな車の挙動」と「リッチ&ゴージャスな美麗グラフィック」が連携して作り出す圧倒的な没入感。
さらに、公式がハンドルコントローラーを推奨するほどの、超リアルなラリーシム。
持てる装備はゲームパッドのみのオートマ免許の筆者が、いかに、本作を克服したのか、その顛末をお届けしよう。
矜持!本格ラリーシムをゲームパッドで遊び倒す

▲スタート位置までのフリー走行区間があって、臨場感たっぷりだ
「本作を最大限に楽しむには、ハンドルコントローラー使用を推奨します」と公式的に案内がある本作。
しかし、筆者の目の前にはゲームパッドが置かれている。
かなり本格的なヤツなのだが、レースゲーム向きではない。

▲4輪のトラクションが独立して変化する本格派。どこに車の重心を置くかでタイヤのグリップを制御する
躊躇する筆者の脳裏に浮かんだのが、彫刻家・平櫛田中(ひらくし・でんちゅう)のこの言葉。
「いまやらねばいつできる わしがやらねばだれがやる」
そうだ、だってゲームパッドしかないんだもん。
リアル志向のラリーシムをゲームパッドのみで遊び倒してこそ、ゲームライター冥利に尽きるってもんでしょ!?
え、「誰もそんなこと望んでない、普通にやれ!」って?いや、絶対に望んでいるはずだ。
だってそうじゃなきゃ、話が先に進まない。

▲ゲームパッドだって立派なコントローラー。やってやれないことはない
そんな使命感でゲームに臨む筆者。
しかし、その出鼻は、本作の常軌を逸したリアル挙動に完全にへし折られることになる。
そもそも、コーナーで曲がれないのだ。
普通のレースゲームのタイミングでブレーキングしてもまず間に合わない。
思いっきりスティックを倒しているのだが、車はアウト側に膨らんで華麗に轍へ突っ込んでいく。
なにこれ、コントローラーなんか関係なく、車の制御がそもそも超絶に難しいぞ(誉め言葉)!
アシスト機能を全部”オン”に!じわじわ操作が速さを生む

▲一度制御が効かなくなると手が付けられなくなる
通常、レースゲームには、さまざまなアシスト機能が導入されている。
自動ブレーキを行い、コーナーでは理想の走行ラインに車が吸いついて、コースアウトを防いでくれる。
初心者でも気持ちよく走れる便利な機能なのだが、反面、システムがプレイヤーの操作に干渉してくるので、車の挙動を制御するリアルさは失われてしまう。
また、アシスト機能をオフにしても、完全にはアシストが消えない場合も多い。
だが、本作は違う。
オフにすると文字通りアシストが効かなくなる。
だから本作では、アシスト機能を全部“オン”にするのが基本だ。
ゲームパッドでプレイするのなら、なおさらだ。

▲平らに見える道路も、実は端に向かって傾斜が付いている。そのわずかな傾斜にハンドルを取られてしまう
ラリーで求められるのは、ミスをしないこと。
それが、唯一にして最大の攻略の鍵だ。
本作はコースアウトや大クラッシュを繰り返すたびに、数秒〜数十秒がペナルティとしてタイムに加算される。
1秒を競い合うタイムアタックでは、これは何としても避けたい。
そこで、ゲームパッド操作の基本は「じわじわ」が鉄則だ。
ステアリングやブレーキは優しさたっぷりに行う。ゲームでお馴染みの派手な「ドリフト走行」も捨てる。
なぜなら、サイドブレーキはデジタル入力のボタンに割り当てられていて、ゲームパッドではじんわり操作が不可能だからだ。

▲路面のいたるところに小さなバンプがある。アクセル全開で突っ込むと、アッというまに横転する
そして、どんなに直線で平坦に見えても、不用意にアクセルを踏み抜いてはいけない。
レーザースキャンで再現された路面は恐ろしくバンピーで、あっという間に小さなヘコみにはじかれて制御不能に陥ってしまうから。
過酷な状況下でタイムを争うラリーの本質は、単純なスピードではない。
とにかく走りきることなのだ。
記憶力ではなくアドリブ力がラリーの基本。反復練習で鍛えよ反応!

▲夜でさらに霧とか、罰ゲームのように視界が狭い。クラッシュするとライトまで破損して消える、親切設計
早期アクセス版では、いずれも実在する4つのSS、18種類のコースレイアウトを走行できる。
しかし、全長33kmにも及ぶコースをすべて覚えるのは不可能だ。
さらに、昼夜の移り変わり、リアルタイムに変化する天候、そして、シビアな路面のコンディションなど、ラリーには常にアクシデントがつきまとう。
でも安心してほしい。
ラリーはコースを覚える競技ではない。

▲ペースノートを頼りにアドリブでコースを攻めるライブ感が最高に楽しい
では、どうやってコースを把握するのか。そこでコ・ドライバーの出番だ。
コ・ドライバーは助手席に同乗して、ドライバーにコースの情報(ペースノート)を読み上げる。
例えば──“5 Left over crest, into 3 Right tightens”という指示なら、「突起の頂上を越えた先、左に5速で曲がれるくらいのカーブ。続いて、右に3速のタイトなコーナーがある」という意味になる。
ドライバーはこれに応答して、最高速でコーナーを駆け抜けていく。
このライブ感こそが、ラリーゲームの面白さの真髄だ。
用語がわからなくても大丈夫。ゲームに収録された辞典「ラリー・エンサイクロペディア」(現在は英語のみ)を紐解けば、たちまち理解できるようになっている。

▲路面が濡れていると信じられないくらい滑る。シビアなタイヤ選択は必須だ
全部アドリブだから予想外は当たり前。
クラッシュやミスは致命的な失敗ではなく、上達へ繋がる燃料なのだ。
トラブルを冷静沈着に処理する能力がメキメキ向上する。
ゲームパッドの筆者は、当然、大クラッシュの山を築いた。
本作は確かに本格派の激ムズのラリーシムだが、走った分だけ自分のスキルの上達をダイレクトに実感できる鏡でもある。

▲アンリアルエンジン5が描き出す、リアルな環境グラフィックを、思う存分堪能できる
まずは、ミニクーパーやプジョー208といった軽快な車両で、短いコースを走り倒してみよう。
きっと、“ただ難しいだけじゃない”、本作の楽しさが見えてくるはずだから。
ゲームパッドのみで100%楽しめる、ラリーシムの最高峰

▲森から開けた場所に出た瞬間の開放感がたまらない。遠景までバッチリ描画されている
本作は、アンリアルエンジン5で開発された、最初の本格派ラリーシムとして話題となった。
美麗なグラフィックにもかかわらず動作は比較的軽量。
筆者の環境(Ryzen7 7700、RTX4070)では特段トラブルもなく、快適にプレイできた。
早期アクセス版では10台の車種を収録。正式リリース時には30台以上へ拡大するとのこと。
現在は海外が中心で国産車の収録はない。個人的にはGRヤリスがあると嬉しい。
コースも拡充予定で、10のSS、35のレイアウト、総距離120kmのステージが導入される予定だ。
破損したパーツの修理など、マネジメント系のコンテンツも案内されている。

▲車体への写り込みや車体のダメージ、汚れなど、全てが高レベルでまとまっている
Steamのストアページの評価は、11月24日現在で「非常に好評」となっていて、その人気の高さがうかがえる。『アセットコルサ』シリーズの一翼を担う作品として、今後の展開に期待大の仕上がりに、筆者は大満足である。
結論。
『アセットコルサ・ラリー』は、ゲームパッドだけでも最大限楽しめる、ラリーシムの最高峰だ!

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発売日など基本情報
| 発売日 |
2025年11月14日 |
|---|---|
| 会社 |
505 Games |
| ジャンル | レース |
| 対応ハード | PC |
| タグ | |
| 価格 |
PC : 3,090円(税抜)
|
| 最大プレイ人数 |
1人
|
| 公式HP | |
| 公式Twitter |
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| フリーランス物書き。ドーナツ食べながら子どもとゲームするのが至高。好きなジャンルはインディーズとFPS/TPS。ゲームの腕前は皆無のポテトゲーマー。ジャンルやタイトルに捕らわれずゲーム業界全体に興味があります。ゲーム以外にはアウトドア系やローカルニュースなどを執筆中。普段は塾講師、ときどきラジオパーソナリティ。 |
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