
※当記事のリンクはアフィリエイト広告を含みます。
TPSやFPSは、とにかく銃を撃ちまくる。でも、撃つのと同じくらい避けることも重要だ。
避けるといってもいろいろある。弾道を見切って機動力で避けたり、シールドを展開して弾いたり……。今回紹介する『Crossfire』は、障害物の背後に身を隠す「カバーアクション」で弾を避ける。
▲Crossfire | Announcement Trailer
『クロスファイア』と聞いてピンと来る人もいるだろう。そう、本作は、韓国の「Smilegate」が開発した対戦型マルチシューターのスピンオフ作品だ。2007年にサービスを開始し、全世界累計で10億人のユーザーがプレイしたという老舗タイトル。
本作は『クロスファイア』のIPを使った、シングルプレイに特化した完全新作だ。本作は、2021年に設立された新進気鋭の開発スタジオ「That's No Moon Entertainment」と「Smilegate」の共同開発タイトルとなっている。
メディア向けに行われたクローズド・プレゼンテーションで公開されたのは、これまでのTPSの常識を覆す、張り付かずに敵から隠れる「アダプティブ・カバー」。
大小様々な障害物を使って視線を切って敵に近づき、次々と各個撃破していくゲリラ戦法が超楽しそうな作品に仕上がっている。
目次
ストーリー主導の三人称視点のタクティカルアクションアドベンチャー
『Crossfire』は、ストーリー主導のシングルプレイヤー体験に特化した、三人称視点のタクティカルアクションアドベンチャーだ。緊張感あふれるシネマティックスリラーと、リアリティを追求した革新的なステルス戦闘システムを融合させている。
オリジナル版の「相反する2つの陣営」という構造を継承し、単純な善悪では括れない、対立する主人公の「レイラ」と「クロス」を中心に据え、戦闘を通じて育まれる2人の絆を描く。

▲レイラ

▲クロス
レイラ役には、Amazonのエミー賞ノミネート作品『ザ・ボーイズ』で知られるClaudia Doumit(クラウディア・ドゥーミット)氏、クロス役には、Starzの人気ドラマ『アメリカン・ゴッズ』で知られるRicky Whittle(リッキー・ウィトル)氏を起用している。

▲クロス役のリッキー・ウィトル氏(左)と、レイラ役のクラウディア・ドゥーミット氏(右)。
オブジェクトに張り付くのはもう古い!?これからは視線を切って隠れろ!進化したカバーシューティング
そんな本作の最大の特徴が「アダプティブ・カバー」システムだ。直訳すると「柔軟な遮蔽」である。
プレゼンテーションで、ディレクターを務めるジェイコブ・ミンコフ氏(以下、ジェイコブ氏)は、過去20年間のTPSゲームのカバーシステムについて、「特定の四角い箱の裏に張り付く、スティッキー・カバーが主流だった」と説明した。
そのうえで、木箱など不自然に配置されたオブジェクトを見れば、プレイヤーは「ここで戦闘が起こる」と簡単に予測できてしまうと指摘。さらに、張り付くのを止め、カバーから少し離れただけで弾に対して無防備になるなど、現実とは異なる問題点を挙げた。
そこで本作では従来の「カバー状態/非カバー状態」という単純なシステムを廃止して、複雑な地形を、より自然な形で障害物として活用する。

重要なのは「敵の視線を遮る」ということ。オブジェクトに張り付くだけではなく、それがどんな形状であっても「敵から見えていなければ隠れられる」という、極めてシンプルかつリアルな概念をゲームに落とし込んでいる。
つまり、小さな岩陰やちょっとした窪地に身を隠して敵の攻撃を凌ぐといった、映画の戦闘シーンなどでよく見る激萌えなシチュエーションをバッチリ再現できるというわけ。
「アダプティブ・カバー」は、都合のいい箱に張り付く従来のシステムを捨てて、大小さまざまなオブジェクトを「柔軟」に活用して敵から隠れるという、革新的なカバーシステムだ。
そして本作が凄いのは、こんな複雑そうなことをプレイヤーにやらせるのではなく、システムが自動的にやってしまうところなのだ。
ごちゃごちゃ地形にワンボタンでシンデレラフィット!?ゲームを支える新技術
もちろん、PCの中では、CPUやらGPUなんかが、ハチャメチャに働いてすごい処理をしている。でも、プレイヤーがすることは「カバーボタンを押す」だけ。あとは全部システムにお任せすれば、勝手に「アダプティブ・カバー」が発動する。
ボタンを押すと、システムがキャラクター周辺の環境や敵の視線を瞬時にスキャンする。キャラクターは、その状況に合った姿勢を自動的に取って身を隠してくれる。
そのまま動き回っても、環境の変化に合わせて身をかがめたり、上体を起こしたりして、自動的にカバーを継続してくれるという寸法だ。
こうしたシステムを裏で支えているのが、アンリアルエンジン 5(UE5)で導入された、Nanite(※1)やLumen(※2)といった新技術。これらの機能をフル活用することで、過去のゲームでは不可能だった「複雑で自然な起伏を持つ地形」を構築することを可能にしたと、ジェイコブ氏は話す。
※1 Nanite:高精細な3Dモデルを低負荷で描画する仕組み。
※2 Lumen:光や反射をリアルタイムに計算して自然な映像表現を支える仕組み。
開発陣は、UE5のこうした技術を使えば四角ではない、自然で美しい環境を作れると考えた。そこで、システムの都合に合わせた地形ではなく、ゴツゴツした岩場や山など現実的で複雑な地形をまず構築して「その中でどうシューティングをするか」へ、発想を逆転させたという。

では、自然な環境でシューティングするとはどういうことか。ジェイコブ氏の説明が面白かった。
「実は最初、私が迷彩服を着て、近所の公園を這い回るとどうなるかを検証しました。複雑な地形で、実際の人間がどう動くのかを知りたかったからです。ただ、私はクールで戦術的かつ経験豊富な兵士のようには全く動けず、微妙でした(笑)」と話す。
そのおかげで、実際の地形では、カバー状態かそうでないかの二択ではないことに気づいたという。たしかに、現実では岩の凹凸や敵の視線の角度によって、身を守る姿勢が無限に存在する。
それをゲームで再現しようとすると、それこそ無数の姿勢アニメーションを用意して、状況に応じてそれらを自然に繋ぎ合わせる仕組みが絶対に必要となる。
そこで開発陣が行き着いたのが、地形でキャラクターを制御する「モーションマッチング」。これは、システムがリアルタイムで地形とキャラクターの位置関係を計算して、数百万のモーションの中からシームレスにアニメーションを組み合わせるというもの。

ジェイコブ氏は「裏では途方もない計算が動いていますが、プレイヤーにはそれを一切感じさせることなく、どんな不規則な岩場にもスッと自然に体を滑り込ませる、リアルな兵士の姿だけをお届けします」と続けた。
この「アダプティブ・カバー」と「モーションマッチング」のシステムが、本作のゲリラ戦法を激アツにしている。
ドンパチより戦略!ハラハラのゲリラ戦と、戦場で育まれる「絆」
なぜ激アツにしているかというと、それは、本作が単なるアクションゲームではなく「過酷でリアルなゲリラ戦」を追求しているからだ。

▲2人しかいないからこそ、ゲリラ戦を展開せざるを得ず、その中から背中を預け合う絆が生まれる。
ジェイコブ氏も、本作の戦闘について「決闘ではなく、待ち伏せ(アンブッシュ)のゲームだ」と表現している。
本作の戦闘はめちゃくちゃシビアに作られており、少人数で多数の敵に正面から堂々と撃ち合えば、あっけなく命を落としてしまう。実際にプレイスルー動画を見たが、多勢な敵に対しこちらは2人だけなので、ゲリラ戦法になるのは必然だろう。

▲本物の兵士ならどう戦うかを地形から読み解き、そこに合った戦略を立てる。
さらに敵のAIも極めて優秀で、一方が制圧射撃を行っている間にもう一方が側面へ回り込んでくるなど、本物の兵士のように連携してプレイヤーを追い詰めてくるようだ。
だからこそ、プレイヤーは頭を使い、ステルスを基本とした戦術をとる必要がある。アダプティブ・カバーを最大限に活用して視線を切って移動し、敵の側面や背後を取る。常に状況を把握して「次はどう動くか」を予測する。
そんな、戦略がドンパチに勝るシューティングなのだ。

▲オリジナル『クロスファイア』の要素を精神的に受け継いでいる。
そして、もうひとつ見逃せないのが、本作のストーリーだ。主人公であるレイラは世界に変革を望む革命家。もう一人の主人公クロスは秩序と安定を重んじる人物である。
基本的に水と油のように決して交わることのない2人なのだが、生き残りを賭けて不本意ながらも手を組むことになる。常に死と隣り合わせのプレッシャーの中で、ステルスとゲリラ戦術を駆使して窮地を切り抜け、背中を預け合うようになる物語なのだそうだ。

さらに、本作は単純な勧善懲悪の話になっていないのもポイントだ。これは、オリジナルの『クロスファイア』が、ふたつの陣営がそれぞれの正義を賭けて激突する構造をオマージュしたものだという。
戦闘を通じて、2人の間にどんな「絆」が築かれていくのか、物語からも目が離せない。
自然な地形は遊び場か?次世代のカバーアクションに期待大
本作は、長年愛されてきた『クロスファイア』をベースにしつつも、全く新しい次元のシングルプレイTPSに仕上がっていると感じた。
UE5の技術で描かれた複雑な自然環境と、その地形を遊び場にして繰り広げられる、息詰まるようなリアルなゲリラ戦法。そして、相反する二人が結ぶ絆の物語。こうした複数の要素が高次元でまとまっている印象だ。

カバーアクション好きな筆者は、いますぐプレイしたくてうずうずしているが、今しばらくの辛抱が必要である。
ちなみに、プレゼン中、ジェイコブ氏はなぜか猫耳のヘッドセットを装着していた。気になった筆者は、その理由を尋ねてみた。
「とてもいい質問ですね(笑)。これは、ゲームディレクターという立場だと、話しかけづらいと思われがちだからです。チームメンバーが少しでも親しみやすく思えるように、あえて着けています」というお茶目な回答に、筆者は思わずほっこりしてしまった。

▲ストーリーを担当するテイラー・クロサキ氏(左)と、ディレクターのジェイコブ・ミンコフ氏(右)




