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ARグラスのトップランナーが他社を置き去りにーーARグラスを開発・販売している日本XREALは、12月11日にARグラス「XREAL One」(エックスリアル ワン)の予約を開始した。
これにさきがけ、来日したXREAL CEO 兼 創設者 チー・シュー氏への取材と、短時間ではあるが実機を体験する機会を得たので、その様子を紹介する。
目次
そもそもXREALって?新作XREAL Oneとは?
XREALは「XREAL Light」や「XREAL Air」(旧Nreal Light、Nreal Air)、「XREAL Air 2」 シリーズなど、これまで複数のARグラスを開発してきた。ARグラスとは、現実の世界にデジタル情報を重ね合わせて表示する、AR機能を搭載したメガネ型のウェアラブル端末のことを指す。
XREAL Oneは、その最新モデルだ。価格は69,980円(税込)。なお、海外では上位モデルとなるXREAL One Proも発表されている。
これまでは映像出力元(スマホやPCなどのホスト)側に専用の「Nebula」アプリをインストールしておくことで、XREALシリーズに表示された画面を空間に固定したり、画面との仮想的な距離を変えたりすることができた。
しかし、XREAL Oneは、アプリを使わず、単体でそれらの機能を使うことができる。簡単に言うと、使用するまでの手間が大幅に減ったのだ。
その秘密は、XREALが独自に開発した「X1チップ」がXREAL Oneに搭載されていることにある。
ゲーマーにとっても大きい「X1チップ」の恩恵
X1チップは、ARデバイス向けにカスタマイズされたものだ。Meta QuestシリーズやAppleVisionProといったVR ヘッドマウントディスプレイ(VRゴーグル)などでは、チップを搭載しているが、ARグラスとしては初のチップ搭載デバイスとなっている。
X1チップを搭載することで、前述した3DoF機能(※)や画面との距離設定が可能になる。
※「3 Degrees of Freedom」の略。ユーザーの頭の動きを3つの軸(上下、左右、回転)で検知でき、固定の画面に投影された映像を楽しむことができる。
また、画像をXREAL Oneの内部で処理するので、ホストデバイスの処理能力の高さにかかわらず、どの端末でも(DP対応端子があれば)接続して映像を楽しめるようになった。本機の進化点はとにかくこの恩恵が大きい。
シューCEOは、XREAL Oneのスローガンを「AR for ALL」だと言う。どの端末でもホストになり得る、ユニバーサルに使えるという意味である。
ゲームプレイヤーにとって特にありがたいのは、Motion to Photon(投影されるまでにかかる時間)が最短3msという低遅延を実現したことだろう。これにより、わずかな操作の遅れが勝敗を分けるようなFPSなどで有利に振る舞えるようになる。
視野角や音質も大きく進化
その他にはどのような特徴があるだろうか。
1つは50度という広視野角であろう。既存ラインナップのAir 2では46度だったが4度のアップ。たかが4度かもしれないが、実際に体験してみると別物だ。
これにより、ゲームへの没入感を高められるし、広い範囲を一度に見渡すことができる。
また、音響面ではBOSEとの共同開発も行った。AR/VR向けにチューニングしたBOSEの高品質な音をXREAL Oneで楽しめる。Nintendo Switchと接続した実機を装着し、ゲームをプレイしてみたが、BGMのクリアさ、かすかな水音まで再現する繊細さなども兼ね備えていると感じた。
空間オーディオやDolby Atmosへの言及はなかったが、ゲーム内の自キャラを移動させると、音源も後ろへと下がっていくのを感じたので、これもやはりFPSに有利ではないかと思う。
リフレッシュレートは、ホストデバイスを問わず90Hz固定。3DoFモードで画面を空間固定している間に、顔を激しく振っても、X1チップのおかげで映像がブレることがない。
目への負担もしっかりと考慮
また、XREAL Air 2 Pro同様、電子調光機能を搭載している。これは、レンズの透明度(または明度)を調整するもので、「クリアモード」、「シェイドモード」、「シアターモード」の順にレンズを暗くする機能だ。物理的なシールドを使うことなく、XREAL Oneに投影されている映像に没入することができる。
近距離で映像を表示するデバイスなので、目への影響が不安になるかもしれないが、この点についても心配不要だ。
というのも、国際的な製品安全試験や認証を行っているテュフラインランド(TÜV Rheinland)が新たに設けたカテゴリー「Eye Comfort」(目の快適性)認証で5つ星を取得しているからだ。
また本機は、テュフラインランドの「High Visibility」認証も取得。画質の高さやリフレッシュレートの高さだけでなく、チラツキのない映像であること、ブルーライトを軽減していることなどのテストを高い基準でクリアしていることを表している。これなら、長時間のプレイでも安心できるだろう。
シューCEOとの一問一答
冒頭で紹介したように、新製品XREAL Oneお披露目のために来日したXREAL シューCEOに、直接質問する機会を得た。そこで、このパートではシューCEOへの取材を一問一答形式で紹介する。
――XREALデバイスを使うことで、ゲーム体験にどのようなメリットが生まれますか。
シューCEO:
新規に開発したX1チップを搭載したXREAL Oneであれば、どのデバイスに接続しても3DoFモードを利用できる。これは、空間に映像を固定できることを意味しており、首を動かせば、その方向にあるものを注視できる。これはFPSなどのシューティングゲームで使い勝手が良いだろう。
また、一人称視点のゲームでは酔ってしまうというユーザーでも、空間上に画面を固定することで、酔いづらくなるという効果を得られる。
XREAL BeamやXREAL Beam Proと接続する方式では、20ms~30msの遅延を生んでしまうが、XREAL Oneならより低遅延でゲームを楽しめる。ゲームとの相性が良いデバイスだと自負している。
――これまでに販売してきたXREALデバイスではゲーム利用するユーザーも多かったと思います。ユーザーが利用しているゲーム機の比率を教えてもらえますか。
シューCEO:
具体的な数字をこの場で回答するのは控えるが、国によっても利用しているゲーム機の比率が異なる。とはいえ、日本ではNintendo Switchと併用していることが最も多いというデータがある。米国ではSteam Deckだ。
我々XREALは、日本市場で高いシェアを得ているという事実があることから、日本でのゲームコミュニティとの連携を深めていきたいと考えている。
――良いデバイスを開発することの他に、ゲームユーザーを獲得していくためどのような施策を打っていこうと考えていますか。
シューCEO:
XREAL Oneは、32:9というウルトラワイドなアスペクト比を実現している。これだけ横に長いスクリーンを実現するには、かなりの費用がかかるが、我々のデバイスであればそこまでコストをかけなくても良い。多くのVST機器の2割のコストで、8割のVST体験を担保できるというのは、ゲーマーにとって魅力的だと思う。
ARグラスは空間ディスプレイと空間コンピューティングという2つにカテゴライズされるが、XREAL Oneは空間ディスプレイを体現し、確立した製品だ。空間コンピューティングをも確立しようとすると、6DoFの実現や、コンテンツとしてのホログラムなど外部企業からの支援や外部との連携が必要で、現時点ではそれがハードルとなっている。
XREAL Oneをゲーム機のアクセサリーという観点で捉えてもらえるよう促していきたい。
将来的には、ヘッドマウントディスプレイではなく、より軽量なARグラスのシェアが増えてくるのではないかと考えている。ARグラスであれば、OST(光学シースルー)も可能だ。街なかを歩いているときに、必要な情報が現実世界にホログラムのように表示される、そういう世界を目指していきたい。
――ありがとうございました。
競合はモバイルディスプレイという考え方も
XREALデバイスには以前から注目していたものの、個人的にはホストデバイスのスペックがネックでなかなか購入に踏み切れないでいた、というのが正直な現状だ。
しかし、今回登場したXREAL Oneなら、ARグラスとして初めて専用チップを搭載したことにより、どのデバイスでも――PS5やXboxのような高価なコンソールでなくても――接続して大画面でゲームを楽しめる。
また、ゲームだけでなく、出先で原稿執筆をすることの多い筆者にとって、モバイルディスプレイの代わりとして使えるというのも魅力的だと感じた。
これまで、ゲームを大きめの画面でプレイできるように、または携帯しやすい超小型タブレットPCの映像を拡張できるように多種多様なモバイルディスプレイを購入してきたのだが、その必要がなくなるかもしれない。
販売概要
予約日程 | 2024年12月11日(水)15:00~2025年1月16日(月)23:59 |
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販売開始日 | 2025年1月中旬以降 |
価格 | XREAL One:69,980円(税込) 予約ページ https://jp.shop.xreal.com/products/xreal-one XREAL One+XREAL Hub: 72,960円(税込) 予約ページ https://jp.shop.xreal.com/products/xreal-one-hub-bundle |
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