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『Predecessor』開発のOmeda Studios CEOにインタビュー
▲Predecessor Playstation Closed Beta | Announce Trailer
2025年9月2日(火)、Omeda Studiosは三人称視点のMOBA『Predecessor』の日本版を正式ローンチした。同作は2024年8月にリリースされたタイトルであり、わずか1年ほどでプレイヤー数を250万人にまで伸ばしたタイトルだ。
そんな『Predecessor』は、かつてEpic Gamesが2016年に配信したMOBA『Paragon』を復活させたいという願いから生まれたゲームであり、同じ志を持つコミュニティのメンバーやEpic Gamesからの助成金を経て開発に至っている。今回は、日本版のリリースに合わせてOmeda StudiosのCEO ロビー・シン氏にインタビューさせていただいた。

──本日はよろしくお願いします。まずは自己紹介をお願いします。
ロビー氏:
私はロビー・シンと申します。Omeda Studios の創設者であり CEO を務めています。もともとはコンテンツクリエイターで、YouTube や Twitch でいろいろなゲームに関するコンテンツを作っていました。
大学生の頃に YouTube チャンネルを立ち上げ、MOBA を中心に配信してきました。本作の前身とも言える『Paragon』は、その中でも非常に特別な存在で、多くの仲間やコミュニティがそこに集っていたんです。
──Epic Games がそんな『Paragon』の開発を中止したとき、当時はどんな思いを抱かれましたか? そして、スタジオを設立する決断を後押しした要因とはなんでしょうか
ロビー氏:
正直なところ絶望し、心からショックを受けました。YouTube や Twitch で配信していたのも、コミュニティが集まっていたのも、すべて『Paragon』があったからこそです。だからこそ打撃は大きかった。しかも理由は『Fortnite』の成功であって、『Paragon』自体が悪かったわけではありません。そこに強いやり切れなさを感じていたのです。
▲Paragon - The New Dawn - Play Now
ライブサービスのゲームは、継続するか中止されるか、その運命をプレイヤー側がコントロールできません。これまでは「仕方がない」と受け入れるしかなかったでしょう。でも今回は違いました。熱量のあるコミュニティがあり、しかも私の周囲にはテクノロジーを理解して、ゲーム開発ができる2人の仲間がいました。彼らは今の共同創業者なのですが、その存在が大きな後押しになりました。
実は私は家族がみな企業を経営していたため、会社の運営や投資家探し、採用、そしてプレイヤー目線を活かしたクリエイティブディレクションを担うことができたんです。エンジニアリングに集中できる彼らと組むことで、3人で会社を作れるのではないかと考え、提案したところ、彼らも「Yes」と答えてくれて、Omeda Studios は始まりました。Epic Games が『Paragon』のアセットを開放していたのも大きかったです。

公開されたアセットを活用することができた|引用元:$17,000,000 of Paragon content for FREE - Unreal Engine
──ファンの情熱が原動力になったのですね。私自身もゲームのサービス終了を経験しており、当時は悔しい気持ちでした。この話が動いたとき、やはり『Paragon』ファンの方々は喜ばれたのではないでしょうか
ロビー氏:
本当にそう思います。実際、ここまで来られたのはファンのおかげです。彼らは常にこのプロジェクトに関心を持ち、時に我々を励ましてくれました。日本を含め、さまざまな地域に展開できているのも、ファンが「自分たちの地域にもサーバーを設置してほしい」と声を届けてくれたからです。世界中のファンには心から感謝しています。
──『Predecessor』の開発にあたっては、Twitch や YouTube で開発の様子を共有されていたと伺いました。ファンのフィードバックは膨大なものになりそうですが、どのようにして取り入れていたのでしょうか?
ロビー氏:
フィードバックは膨大に届きます。その中では意見が相反することも多く、我々としてもどれを優先すべきなのかは難しい判断です。そこで200人規模のテストグループを組織し、2つに分けてUK時間帯とそれ以外の時間帯でテストプレイしてもらいました。
私たちは日中に議論を重ねてゲームに改善を加え、夜には開発者自身もテストプレイに参加し、プレイヤーと一緒に遊んで彼らの反応を直接確認していたんです。かなり大変ですが、翌日には改善を反映できるというのが強みです。
さらに、クローズドな Discord でのやり取りに加え、オープンなチャンネルや Reddit での意見収集なども同時に組み合わせ、世界中からフィードバックを集めていきました。北米、ヨーロッパ、南米、日本、中国、韓国など、本当にグローバルな声が届いていました。
▲Predecessor: Early Access & Beyond
──プロジェクトがこれだけ大規模だとゲーム開発のプレッシャーも大きいのではないでしょうか?
ロビー氏:
そこについてはコンテンツクリエイターとして活動してきた経験が役に立ちました。配信しているとポジティブな声もネガティブな声も常に飛んできます。初期のテスト段階では批判的な意見が多いものですが、それも我々を真剣に思ってくれているからこそです。プレッシャーよりも、そうした時間を割いてテストしてくれることへの感謝の方が大きいです。
──『Predecessor』で三人称視点の 3D を採用した理由と、高低差のあるマップがもたらす体験について教えてください。
ロビー氏:
従来の MOBA は2Dの俯瞰視点が当たり前でしたが、私たちは没入感のある新しい体験を提示したかったのです。
『Predecessor』は三人称視点を採用し、キャラクターによってはシューター的な要素も融合しています。戦略に新しいレイヤーが加わり、これまでのMOBAに慣れ親しんだ人だけでなく、『Fortnite』を楽しんでいる若年層のように、3D・三人称視点が当たり前の層も自然に取り込めます。僕の甥っ子も「三人称じゃないとやる気がしない」と言うほどで、まさに今の世代に響くのではないかと感じています。


──Omeda Studios は完全リモートで開発されていると伺いました。その強みと課題はありますか?
ロビー氏:
このプロジェクトは最初からフルリモートで動いていたので、大きな混乱はありませんでした。世界中の才能ある人材を採用でき、24時間体制で対応できるのは大きな強みです。
ただ、創造的な議論やブレインストーミングをオンラインだけでやるのは難しい面もあります。ですので、仕事の話ばかりではなく、一緒にゲームをしたり映画の話をしたりと、交流を通して友情を築く工夫をしていました。そうすることで意見交換もしやすくなり、カジュアルでフレンドリーな文化が根付きましたね。
──リモートの強みを活かして日本在住の VFX アーティストを採用した話もあるそうですね。
ロビー氏:
はい。実は、日本在住のVFX アーティストに声をかけたのですが、最初は断られました。彼はすでに仕事をしていたからです。でも1年かけて口説き落とし、最終的に「分かった」と参加してくれました(笑)。情熱と才能ある人と一緒に働けることが、私たちにとって最大の強みですね。
──開発資金を調達するために複数のファンドから資金調達を成功させていますね。Epic Games や GFR Fund(グリーの投資部門)など、企業パートナーとの協業から学んだことはありますか?
ロビー氏:
Epic からは『Paragon』のクリエイティブディレクター経験者がアドバイザーとして伴走してくれました。世界的に有名なタイトルにも関わっていた大ベテランで、惜しみなく知見を共有してくれたのが、本当に助かりました。
GFR Fund からは日本市場で展開するにあたって助言をいただきましたし、他にもHaveli Investments や Possible Ventures といったパートナーから温かい支援を受けています。ゲーム業界には「新しい挑戦を応援しよう」という文化があると強く感じました。

プロジェクトのために複数のファンドから資金調達を成功させている|引用元:TO_REVIEW - Omeda Studios Closes $20M Series A | Predecessor
──ゲーム業界が持つユニークさについてはどう感じますか?
ロビー氏:
多くの業界は競争で成り立っていますが、ゲーム業界は「一緒に遊ぼう」という共通言語でつながっています。だからこそ情報を分かち合い、助け合い、思いついたことを惜しみなく共有できる。本当に特別な環境だと思います。
──日本市場向けに特に意識したことは?
ロビー氏:
日本展開にあたっては徹底的にリサーチを重ねました。特に日本のプレイヤーは“アクション性”と“没入感”を重視する傾向が見られます。『Predecessor』はその両方を提供できるので、日本ユーザーの感性に合っているのではないかと考えています。
さらに、ユーレイ(Yurei)、レナ(Renna)、アケロン(Akeron)といったキャラクターには、ライバル関係や裏切り、家族の悲劇といったテーマが散りばめられており、こうした部分もサブカルチャーを嗜む日本プレイヤーから、共感を得やすいと思います。
ゲーム内のアナウンスには日本人声優の方を起用し、自然なトーンでプレイヤーに語りかけることを重視しました。実はこうしたところも GFR Fund の紹介によって、日本企業のローカライズ協力が得られた点です。

ユーレイ

レナ
──今後、日本のコミュニティとはどう関わっていきたいですか?
ロビー氏:
北米や欧州で行ってきたように、開発の透明性を高め、テスト段階からプレイヤーに関わってもらいたいと思います。言語の壁は難しい課題ですが、単なる翻訳ではなく、ゲームを理解した人が橋渡しすることが重要です。また短時間で遊べるモードも導入しつつあります。これにより、時間が限られている日本のプレイヤーにも楽しんでもらえるはずです。
──最後に、日本のファンへメッセージをお願いします。
ロビー氏:
『Predecessor』は MOBA と シューター を融合させたユニークなタイトルです。きっと驚きを感じてもらえると思うので、ぜひ1度はプレイしてみてください。そしてプレイした感想を直接伝えてほしいです(笑)。
これは僕の夢ですが、『Predecessor』が将来的にアリーナを観客で埋め尽くせるゲームになることを願っています。そしてそんな大舞台に立っているのはアナタかもしれません。日本ユーザーのみなさんが『Predecessor』のコミュニティに参加してくれることを楽しみにしています。

余談ですが、実は中国には非常に熱心なファンがいて、自らゲーム全体を中国語に翻訳し「これを使ってくれ」と提供してくれた方がいました(笑)。
彼は特殊な例ですが、Google 翻訳を使ってでもゲームのアイディアやフィードバックを送ってくれる人がたくさんいます。言語の壁があっても構いません。そうした熱意が僕らの原動力にもなりますので、日本のみなさんもぜひ、率直な声を聞かせてくださいね!
──本日はありがとうございました!

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『Predecessor』とは?
三人称視点で迫力のあるゲームプレイが楽しめるチームベース戦略MOBA!

Omeda Studiosから発売のPS5,Xbox Series X/S,PC対応ゲームソフト『Predecessor』は、三人称視点で迫力のあるゲームプレイが楽しめるチームベース戦略MOBA。
プレイヤーは45種類を超えるヒーローの中から好きなキャラクターを1人選び、能力を使いながら敵を攻めていく。
本作では伝統的な3レーンMOBAのプレイスタイルを継承しつつ、没入感のある第三者視点でゲームが楽しめるのが特徴だ。
価格や発売日などの詳細情報
2025/9/2時点で公開されている情報は以下となっている。
発売日 |
2025年9月2日 |
---|---|
会社 |
Omeda Studios |
ジャンル | MOBA |
対応ハード | PS5 / PC / Xbox |
タグ | |
価格 |
PS5 : 基本プレイ無料
PC : 基本プレイ無料
Xbox : 基本プレイ無料
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最大プレイ人数 |
大人数
|
公式HP | |
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GameWith編集者情報

東京都福生市生まれのゲームライター。そしてお酒と革靴が好物でソロキャンプが趣味のミニマリスト気質おじさん。サ終ゲームのヒロインをAIで復活させてニヤニヤしたり、国語辞典を持ち歩いて山中フラフラしたりしています。ULキャンプに傾倒しているためSNSは大体キャンプの話題が多め。 |
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